
もつ
@motu
2026年1月8日
ピエタ
大島真寿美
読み終わった
過去の秘された愛だったり、これからの世の中に対する不穏な空気だったり……そういった事が仄めかされる割にはどれも輪郭が掴めず、作中においては戦争も起きない。ただ人生の中にある不安や喜びなどとしてサラリと語られるに留まり、少し淡々とした印象は受けるが、晩年読みたい本の一冊になった。どんな状況だろうが、よりよく生きる意識こそが人生の真価で、人生の祈りに耳を傾ける時間こそが人としての喜びかもしれない。人生という漠然としたものに不安を抱えず、一過性のものだとしても目の前にある大切なものに手を差し伸べることが出来るかどうかが自分の人生の値打ちになるかもしれない。いかに見誤らずに大切なものを見出すか〜の方に悩むし、自分の地頭の悪さは感じるわけだが。
カズオ・イシグロの『日の名残り』を読んだ時に、美しい夕暮れを迎えたいと思ったが、美しい夕暮れを見るための意識の物語なのかもしれない。
