みっつー "[映]アムリタ 新装版" 2026年1月11日

みっつー
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@32CH_books
2026年1月11日
[映]アムリタ 新装版
感動できるものが好きだ。 映画やドラマ、小説やアニメ、それにゲーム。 これらには物語があり、その中にたくさんの感情がギュッと詰まっている。 物語で、笑わせたり、怒らせたり、悲しませたり、モヤモヤさせたり、イライラさせたり、ドキドキさせたり、ワクワクさせたりする。 感情を揺さぶるために、その道のプロが、大人たちが必死こいて一つの作品を作り上げる。 そして、それは超感動的な物語があるだけではまだ物足りないということが、この小説を読むとよく分かる。 野崎まどさんの『[映]アムリタ』を読んだ。 映画サークルに所属する主人公・二見遭一は、とある天才新入生・最原最早と出会う。 最原が書いた絵コンテ(台本を絵に起こして読み手に分かりやすくしたもの)を読んだ瞬間に二見は尋常じゃないレベルに引き込まれ、気づけば56時間もの間、絵コンテを読み続けていた。 そんな異常事態に怯えながらも、二見は最原が作る映画制作に参加していくのだが、やはりそれはただの映画ではなかった…。 というのがこの小説のあらすじである。 これを読んでいるあなたは、映画や、小説、アニメなどを見る際に、何を意識していますか? 最近はアニメの放送が決まるとまず初めに制作会社を気にするファンが多いように思う。 「あぁ、あそこのアニメ会社ならまず失敗はないな」 「あそこは作画に定評があるからな」など。 逆に「前に作画崩壊させてたよな」とか「かつて自分が見てたアニメが汚されたからやめて欲しい」など言われたりもする。 ドラマや漫画でも同じことを言われていたりする。 「あのプロデューサーが作るドラマはいつも面白い」とか「この時は今あのヒット漫画を描いてる人がアシスタントについていたから」など。 こうやって見ると、作品のことを純粋に楽しんでいる人というのは、むしろ稀有なものなのではないかと思うことがある。 子どもの頃に比べて、大人はより、それらの付加価値について目を向けていることが多いのだなぁと感じるのだ。 子どもの頃は「テニスの王子様」のアニメを見て「こんなプレーありえねぇだろ」とは1ミリも思わなかったもん。 それが良いことなのか、エンタメが世に広がっていくという意味で、悪いことなのかは実際にはよく分からない。 けど、個人的には、ボーっと読み進めたり、見ていくうちに、自然と笑わせてくれたり、泣かせてくれる作品に出会えると、この上ない幸福感に包まれる感覚がある。 例えば実写版の映画『ちはやふる』を見た時はとても純粋で綺麗な涙が流れたのを今でも覚えている。自分で言うのもなんだけど、清原果耶くらい純粋で綺麗だったと思う。 もちろん、脚本が素晴らしかったというのもあるけれど、あとから思えば僕の中で感動できたポイントをあげると二つあった。 それは、音楽と自分の記憶である。 言わずもがな『ちはやふる』は競技かるた(めちゃくちゃハイレベルな百人一首)を題材にしているため集中した時の無音になる瞬間は呼吸を忘れるし、そこから勝ち上がったり、登場人物の感情が高まった時に流れる音楽は、自分自身の感情を解き放ってくれるかのような爽快感があった。 その心の隙間を突いてくるバランスがとても上手いんだなぁと僕は思った。 そして、自分の記憶、というのは、僕の学生時代にやっていた部活動が背景にあったりもする。 僕自身、あまり部活動に熱心なタイプではなく、大会にも選ばれるような実力はなかったし、出たいという意欲もないし、練習もそこまで頑張ることができなかった。 ただ、この『ちはやふる』を見て「なぜあの時、もっと頑張らなかったのだ!」と強く自分を非難した。僕の心の中の野党が気づけば涙の涎を撒き散らしながら怒っていた。 あぁ、私はなんという失態を犯してしまったのだろう、失脚。 そのくらい、この映画には、自分の中の後悔などを無理やり引き摺り出してくるパワーがあるように感じたのだった。もちろん個人差はあります。 今書いたような、映画に対しての向き合い方というのは、僕個人としては全て通して見終わってからするものだと思っている。 昨今では切り抜かれた一部分だけで、作品の全体を評価する潮流があるような気がするのだけれど、まずはなんの感情もなく、ただ純粋な気持ちで作品を見たいという欲求がある。 そして見終わったあとに、自分の心と向き合って、何が面白かったのか、何に感動したのか、何がつまらなかったのか、それらについて考える。 最初から最後にまで、製作者のこだわりというのは詰まっているはずだからである。 それを踏まえて、この『[映]アムリタ』を読んでみてもらいたい。 天才・最原最早は何をもって天才なのか、天才の理解し難い行動は一体何を意味するのか、彼女が作り上げた映画は人の心にどんな影響をもたらすのか。 ネタバレや、切り抜きでは味わうことのできない、作品作りの美学かここに記されていると、僕は思う。
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