タウマゼイン "ソクラテスの弁明" 2026年1月12日

ソクラテスの弁明
ソクラテスの弁明
プラトン,
納富信留
読了。 ソクラテスの語る「不知の自覚」は、単なる謙虚さではない。それは、自分は知っていると思い込んでいる人間ほど危うい、という厳しい指摘でもある。 私自身、少し学んだだけで理解した気になってしまうことがある。しかし問答を重ねれば、その理解がいかに曖昧だったかに気づかされる。 『弁明』を読んで印象的だったのは、ソクラテスがこの姿勢を“善く生きること”として、命を賭してまで貫いた点だ。 不知の自覚とは、快適な態度ではない。それでも手放してはならないものだと感じた。 #思索 2025.1.15 現代では、生成AIや検索技術によって、知りたいことは即座に「知れた気」になれる。 他者との問答を経ずとも、一定の説明や要約に一人でたどり着けてしまう環境は、知への接近を容易にする一方で、自分がどこまで理解しているのかを見失わせやすい。 その結果、知はすでに科学によって解明されたものだ、という誤解が広がり、未解明の領域そのものが視界から消えていく。 こうした時代において、不知の自覚を保ち続けることは決して自然な態度ではない。それでも、ソクラテスが示したように、問い続け、学び続ける以外に、その感覚を手放さずにいる方法はないのだと思う。
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