
みっつー
@32CH_books
2026年1月12日

青い壺 (文春文庫)
有吉佐和子
読み終わった
「価値」って難しくないですか?
母が旅行好きなため、僕は小さい頃から海外旅行に行くことが多かった。
いわゆる観光地に行ったり、その土地ならではの食事を摂ったり、キッチン付きのゲストハウスに宿泊する際には地元のスーパーで買い物をして(母が)料理をしたりもする。
それだけでも十分良質な体験と言えると思うのだけど、僕が「マカオに行った時にカジノに行かなかった」という話を職場の同僚に話した時に言われた「それは経験の放棄ですよ」という言葉がなかなか忘れられないのである。
「経験の放棄」
なんと残酷な響きなのだろう。
実際にカジノをプレイしないにしても中がどんな風になっているのかは見たかった。
けれど、その時たまたまパスポートがリュックの奥の方に行ってしまい、取り出すのが面倒になって諦めただけなのだが、それを言われた瞬間にめちゃくちゃ勿体無いことをしたんだなぁという感覚に陥った。
確かに、こうやってマカオの思い出を書こうとしたところで、カジノについて書くことができないというのはすごく残念な気がしてきた。
なんか…すごく…骨が多い川魚を食べた記憶しか思い出せない。あばばばばば。
経験とは財産であり、その人の価値を磨き上げる行いなんだなぁ、と同僚の言葉で考えさせられたのである。
有吉佐和子さんの『青い壺』という本を読んだ。
『青い壺』は無名の陶芸家が生み出した「青磁の壺」が、売られたり、盗まれたり、お礼に使われたり、忘れられたり、海外に行ったり、と巡り巡って、その陶芸家のところへと帰ってくるまでの物語が書かれた短編集だ。
有吉佐和子さんの作品は以前『閉店時間』という本で初めて読んだのだけれど、その本は600ページ近くあるのにも関わらず最後までとても楽しく読むことができたのに自分でも驚いて、一冊でファンになってしまった。
そして今回『青い壺』を購入して読んでみたのだが、これもめちゃくちゃ面白い…!
『閉店時間』の時もだけど、昭和中期(閉店時間の時系列だと昭和30年くらい)の背景が読んでいて新鮮というのがあって、もちろん平成生まれの作家さんが平成を書けばそういう空気感になるのだろうけれど、その空気感を感じることが出来るのが楽しい。
家族の形であったり、お金の使い方であったり、当時の人から感じる譲れない想いやプライドなどが作品を通して見ることができる。
ある意味、読書を通して人間観察をしているような気持ちにさせてくれる。
『青い壺』は長い期間を経て、色々な人の手に渡り、長い旅を繰り返す。
全13章の物語の中で、その価値もコロコロと変わり、しかし、その見た目の美しさから、大切に大切にされながら、旅を続けていく。
その壺が与える影響は人それぞれで、中には800年前の中国で作られた物だという人物も現れる。
ちなみに壺が製作者の陶芸家の元に戻るまでの期間は10年余りである。
陶芸家は「は…800…?」の状態である。
壺は10年かけて、様々な人の手に渡ったことで、その美しさを変容させていった。
真新しく、美しかった姿から、歴史を物語る骨董品になったのである。
最初に書いた通り、経験とは財産であり、価値だ。
その経験は、自分への自信にもなるし、人の見られ方にも影響を与える。
ゲーム実況という活動を始め、初めて動画を投稿した時、もっと言えば、録画する機械を使って動画を撮った時、めちゃくちゃ恥ずかしかった。
ネットという大海に、不特定多数の誰かに、自分の声が届いたり、評価されたりするのが怖いというのもあった。
けれど、始めてみればだんだんと緊張感は無くなってきて、今は見てくれる人のことも考えて活動できるように少しずつだけどなってきたと思う。
もちろん、まだまだ至らないところも多いし、もっと面白い人だと思ってもらいたい。
何より、価値観は人それぞれだ。
僕の話し方や、声が好きだと言ってくれる人にはより楽しんでもらえるよう努力が出来るけれど、どうしたってハナから興味がない人に、僕のことを好きになってもらうことは難しい。
壺を高い価値で見る人も、安い価値で見る人もいるように、そこには千差万別の物差しがある。
だから今の僕に出来ることは、とにかく自分の価値を磨き続けることにあるのだと思う。
僕のことを好きと言ってくれる人にも、たまたま通りかかった人でも、素敵な人だと思ってもらえるよう、たくさん頑張りたい。
だから、明日からもゲーム実況を撮る、出来るだけハキハキと聞き取りやすいように声を出して。
だから、明日も本を読み、ここに本の感想を書く、出来るだけ自分の想いを上手に伝えられるようになるために。
みなさんの手に渡ることで、どんどん味付けされたいのですよ、私は。
そんでもってたくさんの人に動画を見てもらえるようになるのが、僕の最終目標です。
