miho "暗黒の瞬間" 2026年1月13日

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@mehow
2026年1月13日
暗黒の瞬間
暗黒の瞬間
エリーザ・ホーフェン,
浅井晶子
プルーフで読了。30年間の弁護士生活を終えようとしているエーファが、職務のなかで体験した8つの「暗黒の瞬間」を描いた連作短編集。 プロローグ、エーファが弁護士を辞めると告げる手紙からはじまる。なぜ彼女はそう決意したのか? 読み進めると、どうやらなんらかの事件を彼女がずっと引きずっているらしいとわかってくる。 粒揃いとはこういう作品集のことをいうのだろう。紛れもなくエンタメでありながら、善悪について簡単に答えの出ない問いを投げかける、良質なクライムフィクション。だれかにとっての正義は、だれかにとっては理不尽でもある。どの短編にも、正しいと思われていたことが突然ひっくり返る瞬間があり、読み手を呆然とさせ、うろたえさせる。法律の限界に足を掬われ、職業倫理に縛られるエーファが味わう無力感に、やるせない気持ちになる。どれもおもしろかったが、とくに「少年兵」と「強姦」が出色。 エーファのキャリアに最初に影を落とした事件の詳細は、最後から2番目の短編で明らかになり、最終話でエーファが落とし前をつける。その構成が秀逸だった。 仕事でいくら輝かしい成功例を積んでも、苦い失敗を忘れることはできない。とりわけ弁護士のような、広い意味での対人援助職ならそうだろう。もっとも、対人援助職でなくても、仕事をしていたらだれでも苦い後悔のひとつやふたつはあるはず。そういう意味では身につまされる作品集でもあった。 本書の読書会に参加したので、少し加筆した。
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