よつつじ "ワンルームから宇宙をのぞく" 2026年1月14日

よつつじ
@clover_0308
2026年1月14日
ワンルームから宇宙をのぞく
★★★★★ パステルカラーでふんわりとした表紙とタイトルに惹かれて借りた1冊。 『ワンルーム』という小さな空間と『宇宙』という大きな空間が同じ1文に収められているのが面白くて、つい手に取った。 読み始めた時は、「あ、エッセイか」と思った。あまり読まないジャンルだ。読めるかな、とちょっぴり不安に絡まれた。 だけどモノローグの『けれど、どこかの誰かの生活の隙間を埋めることはできる。ちぎって丸めて詰め込んで、ぴたりと寄り添うことはできる。壊れてしまいそうな時に、ふんわりとその惰性を抱きとめることはできる。』という文章で何だか泣きそうなくらいに惹きこまれた。ちょうど仕事で己の無力さや不条理、限界を感じてスカスカのスポンジみたいな心をぼんやり抱えていたからかもしれない。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  つまり設計というのは、可能性を切り捨てていくことだ。自分のリソースの限界を受け入れて、折り合いをつけていくことだ。  夜空に輝いている星は、全て太陽だ。  ……(中略)人間は、みんな太陽だ。どんなに暗い六等星でも太陽だ。どんなに温度感の欠如した存在に見えても、命を削りながら懸命に燃える太陽なのだ。  選べば選ぶほど選ばれなかった言葉は無数に増えていく。その、選ばれなかった無数の言葉たちの中には、選ばれるべきだった言葉も含まれている。書きたかったはずの何かが必ずそこにある。なのに分からない。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  私も、そうだ。  憤りを感じて書きたかった言葉も伝えたかった言葉も星の数よりあるのに、文字として形になったり声として空気を震わせたりしたものはほんの、ほんの一握り。  この本にだって、もっと覚えていたい言葉や抱えていたい気持ちがたくさんあるのにちっとも頭に留めておけやしない。  それでも、微かに心に灯った小さな星の瞬きみたいな感情を零れ落ちないようにガラス玉に閉じ込めて、たまに思い出したように摘んで眺めてみるのがきっと生きるってことなんだろうな、とも思う。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved