みっつー "黙って喋って" 2026年1月14日

みっつー
みっつー
@32CH_books
2026年1月14日
黙って喋って
黙って喋って
ヒコロヒー
人が好きだ。 人と関わることが、とても好きだ。 とはいえ、いつまでも人見知りめいたコミュニケーションの取り方をするし、おしゃべりのキャッチボールができた人の事を簡単に好きになってしまうし、逆に上手くいなかった時には酷く落ち込んでしまう。 それでも楽しい瞬間を知っているから、人と関わることはやめられない。 僕にとってのコンプレックスでもあり、一番関心があることだ。 高校生の頃、貪るように心理学の本を読んでいた時期があった。 今思い返すと、自分でも引くくらい、人とどう接したらいいのかということに悩んでいたのだと思う。宇宙人なのかおれは。 俯瞰して見れば、他人はそんなに他人に興味がないことくらい分かるのに、それでも他人のことが知りたくて仕方なかった。 ただ、その心理学の本が役に立ったかと聞かれれば、首を縦に振ることは難しい。 本が悪いのではなくて、本に向き合う自分の姿勢が正しくなかったように思う。 その時ほど、読書を手段にしていた時期はなかった。 手段にすることが悪いことだとは、もちろん思わないけれど、僕の場合はやっぱり間違った向き合い方だったと思う。 その時の自分に必要だったのは、気にしない力や、無駄に高いプライドを捨てることだった。 それを頭のどこかで、相手の考えている事を完全に理解しよう、なんて烏滸がましい考えだったのである。 それから時が流れて、今でもコミュニケーションや対人関係について考えることが一番多い。 やっぱり、今でも人と関わることが得意とは言えない。 けれど、やっぱり好きだ。 相手の気持ちを考えるというより、相手の気持ちに寄り添ったり、理解したり、そういう事を意識するようになった。 こちらから探る、というよりも、受け入れたりするという姿勢になったのかなと、なんとなく感じてる。 もっとたくさんの人と話したい、けれど、自分の生活圏内のみだとそれにも限界があったりする。 そうして、読書を通して、色んなものの見方をするのが、今はとても楽しくなった。 ふと思う、恋とはコミュニケーションだと思う。 ヒコロヒーさんの『黙って喋って』を読んだ。 この本はお笑い芸人のヒコロヒーさんによる初めての恋愛短編集である。 恋愛といってもピュアピュアな少女漫画的なものというよりも、もっと人間の奥の中にある感情が書かれていて、自分と向き合うための恋、友達以上の関係に進めない恋、今にも消え入りそうな恋、誰も彼も、どうしようもない恋愛をしている。 その、どうしようもないがとても愛おしくて、清らかで、尊い。 本物が一番汚れている、ということを思い出させてくれる。 その汚れの中で、人はもがき、考えて、強くなっていく。 時に我慢ができなくなるほどの怒りが込み上げて、作り上げた土台は簡単に崩れ去ってしまうことを胸に刻み込む。 それでも次に向かっていく姿はあまりにも気高くて美しい。 最近人と話していると、「長生きはしたくない」というような言葉を聞く。 その気持ちも十分に分かる。 分からないけれど、分かる。 その人たちは、僕と生きている環境も違えば、性別や、人種、恋人がいるか、家族がいるか、など様々だ。 だから簡単に「えー、長生きしてよ」なんてことは言えない。 無責任で、理想論だ。 けれど、僕としては出来るだけ、長く、強く生きていたいとそんな風に思ってしまう。 たくさんの映画を見て、本を読んで、ゲームをして、コミュニケーションを取って。 傷つくこともたくさんあるだろうし、しんどかったり、死にたくなる日だってあるかもしれない。 それでも、人の気高さを、信じたいと思ってしまう。 やっぱり、この本に書かれている恋愛模様はどう考えたって「どうしようもない」。 だけど、すごく混じり気がなくて、そこに人と人が存在して、血が通っている。 こういう文章を読むと、自分ももっと強くなりたい、と思わせられる。 これからも長い人生を生きていく中で、辛いことがあった時のお守りとして、この本をそばに置いておきたい。 読み返した時、「ばかだねぇ!」と言ってくれる友人が、そこにいる気がするから。
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