中村 "回転木馬のデッド・ヒート" 2026年1月14日

中村
中村
@boldmove33
2026年1月14日
回転木馬のデッド・ヒート
ティーンエンジャーの頃に親しんでいた村上春樹作品を読み返そうという試み。本作は友人からのおすすめ。実家の自室に置いてあった。これには、「ハンティング・ナイフ」を除いて、作者が聞き取りをした相手の話を元に執筆している(という体の)短編が収録されている。回転木馬というのはわれわれが身を投じている「システム」のことを指す。それは資本主義経済だったり消費社会だったりする。もっと個別具体的かつ文脈依存的な場合もある。相手に追いつくことはなくて、抜け出すこともできない。特に「雨やどり」という作品を気に入った。「セックスが山火事みたいに無料だったころ」(p. 142)ってすごすぎる。 >僕の体の中にはそれを拡大して切り刻んでしまいたいという欲求がどんどん大きくなっていくのがわかりました。そして、それを押えきることは僕の意志の力では不可能でした。ちょうど口の中で舌がどんどんふくらんで、しまいには窒息してしまうのと同じようなかんじです。それはなんといえばいいのか、セクシュアルな感情であり、それと同時に非セクシュアルな感情なんです。まるで液体みたいに僕の中の暴力性が毛穴から浸みだしてくるようなそんなかんじなんです。そういうものを止めることはたぶん誰にもできないんじゃないかと僕は思います。そんな暴力性が僕の体の中にひそんでいたなんてそれまで僕自身も認識できなかったんです(「野球場」p. 156)
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