空飛ぶ円盤 "黒い家 (角川ホラー文庫)" 2026年1月15日

黒い家 (角川ホラー文庫)
黒い家、読了。 前々から気になっていた作品だったが図書館だと取り寄せになるため今回は書籍購入。かなりのんびりと読んでしまった。 保険屋が遭遇した事件がどんどん発展して………という話。現代が舞台のためか非常に細かく駅名や土地などが描写されている。 リアリティのための細部描写かもしれないが、想像を掻き立てるとはまた別の方向で、これらの事実を元に絵を描くというのが読者に求められる印象。 中盤まで「惹きつけられるものの手が止まらないほどではない」という状態だったため、数行読んではしばらく置き…を繰り返してしまった。 しかし、中盤を過ぎてからは一気に引き込まれ、中断ができない。展開を急ぎたくなる頭を抑えとどめて読む場面すらあった。 小説でパニックホラー的な面白さを感じさせるのは秀逸。また、主人公が虫を専攻していたというバックボーンにより、虫にまつわる話がよく出てきて一人称視点の面白さも感じられた。 作者の意図があってかは不明だが、主人公にも情緒欠如を思わせる箇所が端々にあるのも考えさせられる。人がそれを表出せずに済むのは環境によるものであり、偶然の要素もあるのかもしれない。 死者は多く、論じる哲学はディストピア的ではあるが、強い希望も、しかし絶望も感じさせない終わりだった。読者によって天秤の傾きは変わりそうである。 私の持論は変わらない。人は愚かで大衆はやがて喰われる蟻となるかもしれないが、一方で人類史を振り返ると善を志向する個人というのを見つけることができる。人類というのは、人間が思うより結構悪くないものだ。
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