
神木紗由
@kamiki_sayu
2026年1月12日
家族
葉真中顕
読み終わった
直木賞候補
第174回(2025年下半期)直木賞候補作。
尼崎事件モチーフの作品だそうです。確かに「尼崎かな? 北九州の方かな?」と思わせる物語の始まりであった。しかし、元の事件を知らない方が怖く読めると思う。他所の家を乗っ取り、互いに虐待を行わせて死に至らせ、隠蔽し、その財産を取り上げる犯人が恐ろしい。
物語は犯人集団の逮捕後、ボスである夜戸瑠璃子の妹格、朱鷺子の供述を軸に関わった人々の視点から語られる。 その人心掌握術(というかほぼ洗脳)は目を覆いたくなるほどえげつない。特に有間家まわりはえぐい。…… が。正直に言って、元の事件の方が怖い。
現実の事件をモチーフにしている以上フィクション部分の良さが大事だと思うんだけど、全体の語り口もさほど感情を強く揺さぶられるものではなかったし、「あばた面の男」と有間昴のくだりは正直蛇足ではないかと思うし、バルコニーの澄の件も確定させるのは野暮だったんじゃないかなあなどなど。ボスが「ピンクババア」であることに意義があったんじゃなかったの? 結局瑠璃子は、朱鷺子は何を考えていたの? 事件を真にコントロールしていたのは朱鷺子だったという話で落とした方がまだわかる。実際要所要所で手綱を握ってたのは朱鷺子だったし。
最終章間際で取って付けたようにフィクション色が強まってなんだか合わなかった。
それにしても瑠璃子はどうして「瑠璃」の名を持ちながらピンクばかり着ていたのだろうなあ。多分ウロボロス?のペンダントも意味深だったけど。