
遠亜
@toa_bookworm
2026年1月15日
恋とか愛とかやさしさなら
一穂ミチ
読み終わった
一気に読了。
前半は、盗撮した男性の婚約者側の視点からのお話。後半は、盗撮した男性視点からのお話。
全体的に、「女」という「性」的記号として、この社会で生きるということについて、描かれた本だと感じた。女に生まれたことを望んだわけでもなくとも、女であるというだけで、性の対象になってしまうということ。
そうして「性」の対象となることが日常と一体化しすぎることで起こる様々なレベルでのグルーミングも描かれていたのではないかと思う。
たとえば、そういう男のサガも含めて「男ってそうゆうものじゃん。結婚って総合的な条件じゃない?」と開きなおる女性たち。そういう男のサガは一切受け入れず、断固拒否と攻撃をすることこそが正義であると主張する女性たち。そして、そうした「性」の対象とされていることが日常化しすぎて、怒ったり、嫌悪感を抱くという自然な反応すら鈍化させてしまっている女性たち。
どのレイヤーの女性にも、共感できる部分があり、深かった。
どこまでも「分かりあえない」ことが続く男女に、分かり合えるときは来るんだろうか。
最後に、あの人がその境界線を超えて、完全ではないかもしれないけれど、ほんの少し、「わかる」という希望が描かれた終わりが、よかった。
その「わかる」に至るまでに、辿らなければいけなかった道筋や、経験しないといけなかった辛苦が、「分かり合えなさ」の溝の深さを描写していて、なんとも切なくもなったのだけれど。




