
izy
@izy
2025年3月11日

自由が上演される
渡辺健一郎
かつて読んだ
ざっくり言えば「自由とはなにか」を論じた本だけど、アプローチがユニークで、演劇教育(「演劇のスキルを身につける教育」ではなく「演劇を手段として用いた教育」)の現場で遭遇した様々な自由/不自由についてどのように考えればよいのかという問いが出発点になっている。だから本書は演劇論・教育論でもある。
「自由に演じてください」という言葉には、原理的に不自由が含まれている。一見、自由を尊重しているようでいて、自由を強いるという矛盾、また自由を実現するために他の自由を犠牲にしなくてはならない状況や、従属的主体の形成といった自由の逆説をめぐる問題を理論的に考察し、具体的経験と往復しながら明晰に論が展開されていく。
