W7Ed
@4nTeG00N
2026年1月15日
言語化するための小説思考
小川哲
買った
読み終わった
小説家が思う小説論。ありそうで無かったテーマで、目からうろこが。帯の主張がすごい。帯の裏面の推薦コメントが秀逸。思考術本っぽい表面より、こっちを前にしてほしかった。でも新書だから確かに実用的でもある。抽象や個別化などは、ハッとさせられる。「書く人」にとってはとても参考になるんだろう。
わたしは小説家でも文筆家でもないので、エッセイ的に楽しんだ。鉄板ネタにまんまと笑う。何より小説への真摯な姿勢や心がまっすぐ伝わってきて、胸がすっとした。巻末の小説も、主人公の小説家の葛藤やチャレンジする姿にじわっと心が熱くなり、がんこだけど可愛らしい所もある性格にこっとした。この本のエッセンスがぎゅっと詰まったショートストーリーだった。
ここ数年で読書する時間をとり戻し、いろいろな本を読むようになった。歳とったからか、色々と考えてしまうようになり、だんだん読解迷子に。情けなくもついつい手が伸びる「本の読み方」的な実用書。小説の構造や読解とか、書評を書くような人はどんな視点で小説を読んでいるのかな、とか。で、文体とか、人称とか言われても、それと読む楽しさの繋がりがぼやんとしててよくわからなかった。
けれどこの本は、わたしのもやもやにすとんと落ちてきてくれた。外からの論としてではなく、小説家が自分のことを分かりやすい言葉で語ってくれているからだ。この薄さに、詰まっている。すごいのひと言だ。すごいよ。
読後、不思議と心が軽くなった。もう一度、小説を気楽に楽しく、を取り戻そうと思えた。



