いずみがわ "エレガンス" 2026年1月15日

エレガンス
エレガンス
石川智健
「犯罪を見逃すのは、罪を許容することと同義です。空から爆弾を落として罪なき人々を殺している行為を容認することと同じなんです。我々は許されざる行為を糾弾する役目を担わなければならないんです」p154 吉川澄一先生、三澄ミコトでしたわ。 ひとりの尊厳を守ることが、世界を守ることなんだね。 文学、科学、ファッション、そして歴史、色んな要素が入っていて読み応えがあった。キーワードが何度も違う側面を持って出てくるのも面白い。 犯人はなんとなくわかってしまったけれど… p324からの空襲の描写が圧巻。石川光陽が五感を全開にしてライカのレンズ、シャッターと繋がって地獄を記録する2時間半が、改行一切なしの構成で読んでるこちらの瞳孔も開いていく。 対してもうひとりの目線で描くp336からの描写は夢と現実がないまぜになって、この小説を読んできたからこその涙が出てしまう。 追記 家のもの、国家のものじゃない自分を守る抵抗のためのファッション、胸が熱くなった。自分の身体は自分のもの。 全体主義にコミットしたひとたち(警察組織、特高、憲兵etc)には見えない「洋装」「洋髪」の違いを知るドレ女の面々やパーマ屋さん。そして人間が無意識にかけるフィルターを全て剥がすカメラの眼。違いを見極める目が事件解決の鍵になる。世界の解像度が下がるのは、見ようとしてないから。個々の生活、幸せ、苦しみ、夢…それを塗りつぶすのが全体主義、そして戦争なんだよな。 …今の私たちはその写真すら信じられないと思うと悲しい。 永井荷風とのちに成功したオタク(?)になる小西茂也のすれ違いはクスッと笑えた。
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