
読書日和
@miou-books
2026年1月16日
失われた貌
櫻田智也
読み終わった
図書館で予約して、長く長く待ってようやく届いた一冊。読み始めたら先が気になって止まらず、結局ほぼ一気読みしてしまった。
物語は、山奥で発見された凄惨な遺体から始まる。顔は潰され、歯は抜かれ、手首から先は切り落とされている。身元を徹底的に消そうとした形跡。報道の直後、警察署に一人の小学生が現れ、「その死体は自分の父親かもしれない」と告げる。彼の父は十年前に失踪し、すでに失踪宣告を受けていたはずだった。無関係に見えた出来事が少しずつ絡み合い、現在と過去を飲み込みながら、事件は思いもよらない方向へ転がっていく。
冒頭のあまりの残酷さに身構えたけれど、単なる猟奇ミステリでは終わらないところがよかった。登場人物の印象も、事件の構図も、読み進めるうちに何度も裏返され、「そういうことだったのか」と気づかされる快感がある。真相に近づくほど人間の弱さや執着が浮かび上がり、後味良き。





