クリス・ティック "夢を叶えるために脳はある 「..." 2026年1月16日

夢を叶えるために脳はある 「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす
タイトルは一見ゴミみたいだがミスリードであり、内容はポピュラーサイエンスの王道。オールタイムベスト。高校生への講義という形で現代脳科学の面白実験面白トピックをこれでもかとぶちこみ常識を土台から揺さぶる、科学啓蒙書のお手本。 話の流れは「私の見る現実とは脳により構成された夢である」という脳科学の入門本では定番の認識を土台に、いかに脳というものが現実をでっち上げているかの仕組みを丹念に語っている。 そこから自我や現実というものを解体していき、人工知能と脳の共通性、人工知能研究を通して浮かび上がる人間性といったハードな話題にも切り込んでいく語り口の鮮やかさが凄い。 人工ニューロンとモルモットの腸の収縮が同じ関数で従っていることから、腸を使った人工知能回路を作ったという話がインパクトが特に凄かった。 タイトルの「夢を叶えるために脳はある」とはつまり夢=現実を作る存在としての脳を端的に表した表現でしょぼいビジネス書の標語ではないんですよ、という種明かしも納得感がある。 現実が脳により創造されたものでしかないというところから科学哲学よ宇宙論、生命論にまで手を伸ばそうとしているが、明らかに飛躍がある。しかし心地よい飛躍であり、啓蒙書に人が求める常識解体の愉しさがぎっしり詰まっている。
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