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クリス・ティック
@kurib1
  • 2026年1月21日
    父と娘の法入門 (岩波ジュニア新書 519)
    動物を軸にした法律入門。といっても動物愛護法だけとかじゃなく、権利や契約や財産、戸籍といった法律の基本概念そのものに発想をなじませるための本といったところ。 動物は自然に考えると明確に命だが、法律的には物で、でも動物愛護法からも分かるようにただの物じゃなくて……とかなり特殊な存在かつ日常的でありふれてもいるので、そこを起点に話しのフックにするというのはなかなか賢い。 今ある法律の解説というよりその法律のバックボーン、基本理念そのものの話なので詳しい人には退屈かもしれないけど「権利とか契約とか言葉すら聞いたことがない、あるいは日常的な用法との違いがわからない」という人にとってはかなりいい本だと思います。 娘との対話調と言っても実際に娘と対談したわけじゃないんじゃ?と思ったら本文チェックにガッツリ本当に娘さんの意向が反映されてるらしい。えっじゃあ本当にこんなちょっとマウント取ってくるウザキャラだったのか。
  • 2026年1月20日
    投票に行きたくなる国会の話
    元議員政策秘書のジャーナリストというだけあって実務面の詳細と制度的な提言両方が豊富で入門書としては結構詳しめだと思う。国会が何をしていて、その国会に一般有権者はどうすれば関わることができるのかという基本のキを教えてくれる。提言面はかなり著者の色が明確に出ているので差し引いても現状の解説面が丁寧で読み応えあり。 ただタイトルが投票に行きたくなるの割に議員立法に働きかけるためのロビイングとか、パブコメとかデモとか投票以外のお話が多いのはちょっと意図せぬユーモラスさが滲んじゃってる。投票でそんなにガッツリ解説する部分少ないから仕方ないだろうけど。
  • 2026年1月20日
    カラー版 名画を見る眼2
    2巻では印象派から抽象絵画までを扱っている。開幕がモネの「パラソルをさす女」といきなりご機嫌な名作のエントリーで解説も全体的に軽やか。色彩と形象を拡張、開放していった、絵画史の一番面白い時期をメインにしているが、むしれ目を引かれるのは美術史の流れと背景に目を配りながらも根本的には作品と作者の固有性に目を向けているところだろう。 どうしても印象派や抽象絵画やキュビズムと言った場合その言葉と歴史そのもののインパクトに流されて、作品を歴史を勉強、再確認するためだけに流してしまうことがよくある。スーラの絵画を見て点描法や後期印象派の作風を語ったところで、それは既に書かれた教本の追認に過ぎない。作者はそこで個々の絵画の詩情や美しさにも筆を及ぼすことでただの硬い解説本ではない広がりを実現できている。
  • 2026年1月20日
    新しい世界を生きるための14のSF
    新しい世界を生きるための14のSF
    まだSF作家として単行本を出していない、新人SF作家だけのアンソロジー。でも全部ハズレがなくて凄い。各テーマごとの編者解説も充実で色々な意味で新しいSを盛り上げるための入門書って感じだ。中でも「大江戸しんぐらりてい」「ショッピングエクスプロージョン」の2作がドンピシャ好み。以下収録作ごとのコメント。 「Final Anchors」 テーマはAI。トロッコ問題とAI問題の応用で分析的な筆致と現代性はよし。一方でトロッコ問題を題材にするにはオチが予想の範疇を超えるものではなく佳作といったところか。 「回樹」 テーマは愛。死者を吸い込み遺族の感情を操る謎の人型樹木!魅力的なギミックと死別百合の相性が良く世にも奇妙なテイストで結構好き。雰囲気特化ではなくそのような存在がなぜあるのか、社会に表れたら人々はどうするか、という分析要素も手堅く奇想SFの本懐。 「点対」 テーマは実験小説。元が同人誌だからこそできた文体ギミックを単行本にした苦しさはちょっとあるけどムードと文体実験は良く出来てる。でも収録作の中では意匠強めでパワーはそこまでかな。 「もしもぼくらが生まれていたら」 テーマは宇宙だけど改変歴史に入れてもいい。メッセージ性と小説の馴染ませ方は本書でも一番際立っている。あるイベントが起こらなかった世界を舞台に小惑星衝突に立ち向かう高校生の青春を表にしながら、大災害に対する人類の叡智、一見拍子抜けな結末からは科学というものへの信頼も浮き彫りになっている。将来性は一番感じた作家。最後の1行が鮮やかすぎて脱帽。でもちょっと頭で書きすぎた感じはあるわね。 「あなたの空が見たくて」 テーマは異星生物。魅力的な異星生物はその生態系を的確に情景として描くだけでもものになるという自信を感じる。編者解説も言う通りとりたてSFでは珍しい生き物でないのに文章の美しさが飛び抜けてて読ませる。 「冬眠生物」 テーマは動物。早い話がケモナー獣人叙情物語だけど、冬眠中熊は他の熊の記憶の世界に繋がっていける、というワンアイディアで切なく美しい失恋小説にしている。着想的に民話や神話の要素も取り込んでるんかな? 「9月某日の誓い」 テーマは超能力。すでにミステリ業界では有名な作家なのもあるのか筆の達者さでは本書でもナンバーワン。百合小説としても極めて上質で、繊細な雰囲気と作中異能をめぐる謎と伏線回収の気持ちよさが見事に両立している。といっても真相も能力の正体もそんな意外性のあるものではないのだけど、ストレートで投げてストライクをきちんと取ってくる感じ。あと危機を打開するときに能力の詳細を解説するとこれだけ百合に振っても熱血少年漫画っぽくなるのね。 「大江戸しんぐらりてい」 テーマは改変歴史。本書収録作で個人的には最強。徳川光圀や関孝和といった実在人物を出して、算術と和歌研究という突拍子もないものを結びつけながら、神話的スケールのとてつもないビジョンと派手なエンタメを見せてくれる。SFに限らず小説には鮮烈なインパクトとビジョンを求めているのでドンピシャ。 「くすんだ言語」 テーマは言語。そのままやね。翻訳ツールの発展による未知の言語の誕生と人々への影響という筋立てはワクワクするし、よくあるネタだからあえてスケールを広げすぎずに父と娘の物語に絞ったのも悪くない。けど虐殺文法以後の小説としてはやっぱ地味かなぁ。期待したほどには届かなかった。 「ショッピング・エクスプロージョン」 テーマは環境激変。ドン・キホーテで、ワンピースで、サイバーパンクだ。バカバカしく猥雑で意識が低く、なのに熱い。つまり最高の小説だ。ドン・キホーテをイメージしたであろう自己増殖する激安の殿堂が世界を覆い尽くしたポストアポカリプスで創業者が残した宝物「サンピース」をめぐる冒険が始まる。サンピースとか言うてる時点でアホですね。パロディも多いのにどういうわけか冒険物としてはガッツリ骨格がしっかりしてはる。 「青い瞳がきこえるうちへ」 テーマはVR/AR。身体障害者でも脳を使った仮想空間でのスポーツなら感覚を得られるよね?という小技でもおっと確かにそうだなと興味深さが募るけど、本題はスポーツ小説としての爽やかさと熱さにある。漫画化しても向いてる感じのシナリオ。 「それはいきなり繋がった」 テーマはポストコロナ。でも実態はコロナ禍をフックにしたパラレルワールドものか。コロナのなかった世界とコロナのあった世界が繋がってしまって、しかもなかった世界にはコロナも映らない、という設定が魅力的。世界観描写と主人公カップルと反転世界の主人公カップルのドラマも両立できているししっかりした技術を感じる。 「無脊椎動物の想像力と創造性について」 テーマはバイオテクノロジー。改造によってとんでもない糸による生産力を得た蜘蛛により変貌した世界が舞台だが、パニック映画じみた筋書きに対して「生き物が進化により得た世界に働きかける力は人間の想像力や創造性と変わらないんじゃないか」という問いかけがメイン。思索性豊かだが、きれいな京都が蜘蛛の巣に覆われて焼き払われて大炎上するので……きれいなものが燃えてると楽しい!のも加点ポイント。 「夜警」 テーマは想像力。編者解説でも言う通りブラッドベリっぽさのある叙情奇想SF。めちゃくちゃ怖いドラえもん。穏やかな導入から世界観がわかって宇宙的恐怖の片鱗に触れた感覚は気持ちよかった。編者はブラッドベリにも届きうると書いてるけど、わかりやすいものの流石に文章のパワーはブラッドベリには敵わんと思うね。でもかなり面白い。
  • 2026年1月19日
    自然をつかむ7話
    豆腐の形成から惑星の形成に話をつなげ、トーマス・マンの作品から生命誕生の話に持っていく、文理横断的な傑作科学エッセイ。 特に第六章の「アドリア海に落ちた涙」が抜群に面白い。海洋研究者として知られる著者のもとにある日突然鳴った電話。その内容は「かつてイタリアで恋に落ちた男性から、手紙で私の涙がアドリア海からあなたの故郷に届きますようにと言われた。いつその涙は日本の海に来るのか」というもの。 普段専門家がどれほど市井の人々の質問を受け付けて答えているのかは知らないが、こういう電話は適当に取り合ってもよさそうなものだが、著者は真面目に考える。大真面目に、涙の分子や海流から細かく考えて検討している。このクソ真面目さと考察を彩る博覧強記のギャップに爆笑してしまう。 一方茶目っ気があるだけでなく、超能力によるスプーン曲げを否定した金属学者の「指で擦るだけで金属は簡単に曲がらない。奇術と断言できる」という姿勢を頑固と評さずに「自然科学の信念を見た」と人類が積み上げてきた集合知の方を信じる硬派な姿勢も好感が持てる。 マクロとミクロの話を科学現象を軸に繋げて語るのは寺田寅彦っぽいけど、実際に意識して書いたそう。頭のいい人の素敵な雑談をずっと聞いているような気持ちよさがある。
  • 2026年1月19日
    自然をつかむ7話
    「アドリア海で愛する人が流した涙が日本の海に流れ着くまでにどれくらいかかる?」 突然電話にかかってきためちゃくちゃな個人の質問を大真面目に計算する著者がバカおもろい 愛すべきクソ真面目
  • 2026年1月18日
    ミクロにひそむ不思議: 電子顕微鏡で身近な世界を見る (岩波ジュニア新書 582)
    電子顕微鏡の解説を冒頭で済ませて後はとにかくいろんな見て楽しいものをとことんミクロで見て楽しんじゃおうという潔さと勢いが好ましい。虫、食べ物、人体といろんなものが限界まで拡大されて異世界のオブジェのように見える。縫い針の先端の丸さや皮膚から生える毛髪の荒々しさと不気味さと、ライトに読めるが読んだ後に世界が違って見える気がする本
  • 2026年1月18日
    クローンの世界 (岩波ジュニア新書 315)
    クローンというと人為的な、自然の枠を超えた生命に一見聞こえるが、自然界全体で見るとそんなことはなくてホヤとかサンゴのように当たり前に自分のクローンを生んでる生き物もいますよ、という話でかなり基礎的な、細胞とかの生物学の話をしている。 なにせ全十章あるうちいわゆるクローン羊やクローン人間に触れているのは最後の二章だけ、それ以外は細胞分裂の仕組みとかホヤのように自然界のクローンを産み出す生き物たちの話で、時事的な話題に食いつく以上に学問として大事な基本を抑えようという姿勢がしっかりしている。 ホヤは血球からすら新たな個体を生み出せるとか、サンゴのクローンによる群体は同じ遺伝子なのに役割に応じて全く違う形に成長するとか雑学として面白い話が多い。といってもクローン人間とかも雑学の延長で語るわけにはいかないので人為的クローンと倫理問題といった部分にも筆は及んでいる。かなり古いが、ちゃんとした本だった。
  • 2026年1月17日
    中高生のための憲法教室 (岩波ジュニア新書)
    国家権力を制限し人間の自由を守るためのものとしての憲法と立憲主義の基本的な考え方をかなりわかりやすく語っていて法解説ベテランの著者らしい安定感がある。 一方日本国憲法の特色である非暴力平和主義とそれに伴う時事問題の解説はやはり岩波書店の雑誌連載なこともあってか教条的で実感を持つのが難しい、異論異説を想定していない部分が多い。この語り口の巧みさなら、それこそビラ配りの自由もいいが、創作表現の自由をより多めにするなど、もう少しテーマをより若い読者に実感しやすい問題中心にすればはねたと思う。とはいえこのわかりやすさ解説のうまさ、ポイントを掴むことの的確さにおいて一読の価値は大いにある。
  • 2026年1月16日
    夢を叶えるために脳はある 「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす
    タイトルは一見ゴミみたいだがミスリードであり、内容はポピュラーサイエンスの王道。オールタイムベスト。高校生への講義という形で現代脳科学の面白実験面白トピックをこれでもかとぶちこみ常識を土台から揺さぶる、科学啓蒙書のお手本。 話の流れは「私の見る現実とは脳により構成された夢である」という脳科学の入門本では定番の認識を土台に、いかに脳というものが現実をでっち上げているかの仕組みを丹念に語っている。 そこから自我や現実というものを解体していき、人工知能と脳の共通性、人工知能研究を通して浮かび上がる人間性といったハードな話題にも切り込んでいく語り口の鮮やかさが凄い。 人工ニューロンとモルモットの腸の収縮が同じ関数で従っていることから、腸を使った人工知能回路を作ったという話がインパクトが特に凄かった。 タイトルの「夢を叶えるために脳はある」とはつまり夢=現実を作る存在としての脳を端的に表した表現でしょぼいビジネス書の標語ではないんですよ、という種明かしも納得感がある。 現実が脳により創造されたものでしかないというところから科学哲学よ宇宙論、生命論にまで手を伸ばそうとしているが、明らかに飛躍がある。しかし心地よい飛躍であり、啓蒙書に人が求める常識解体の愉しさがぎっしり詰まっている。
  • 2026年1月16日
    夢を叶えるために脳はある 「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす
    すごくサラッと流されたんだけどモルモットの腸で人工知能を作ったって話何?すっごいな
  • 2026年1月16日
    夢を叶えるために脳はある 「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす
    人間の網膜にはシャコなどと違って黄色を見る機能はなく、赤青緑の三原色の合成で他の色を補っていることを差して「君たちの見ている黄色は実はすべて幻覚だ」とする表現が面白い
  • 2026年1月10日
    日本史でたどるニッポン
    面白かったんだけどなんか読み味がぼんやりしてんなあ、という印象が拭えなかった。 というのも「日本史を通して日本という概念そのものを問い直していく」というお題目は魅力的なのに、実際はその周辺の歴史トリビア漫談に始終していてどうも書きぶりに気合が入ってないのだ。 そうはいってもさすがにメディアに引っ張りだこの手慣れた解説者だからそれぞれの解説自体は面白く、面白いけどこれ点と点を置いてるだけでそんなに線になってないよなあ、という書物としての集中力の欠落が強いイメージを残せない原因となったと思われます。 また、「日本は最初から一つの国だったのか?」と章題にしてまで既存のイメージへの問いかけをしているのに実際は本文で「日本人は草食的で、のんびりしている」と通俗的な日本人論を入れているところも、同じようの注意力と集中力の不足を感じました。面白いのですがもっと面白くできたという感じの本ですね。
  • 2026年1月10日
    日本史でたどるニッポン
    ちくまプリマー新書は岩波ジュニア新書と比べてなんとなく書き方が良くも悪くもぼんやりした本が多い気がする。編集方針の違いだろうか
  • 2026年1月10日
    国家を考えてみよう
    一見すると感性で物を言ってるようだけど、実際はかなり調べて物を書いていて、でもそれを表に出さずあくまで感覚的に書いてるように見せかけてるのでふわふわしてるようでどっしりしてる、という橋本治の本によくある書き方をしている。お勉強ではなく本当にゼロから考えさせたいからいろいろ前提や常識を取っ払って、でも本当に全部取っ払った独断の本になってはよくないからオーソドックスな考え方にはなっていて、ためにはなったけどぱっと要約するのは難しい。 一応自由を建前とする民主主義からなぜ度々国家主義的、独裁主義的なリーダーが出てくるのか、ということへの洞察はかなり鋭くて面白かった。
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