みたらし団長 "物語の役割" 2026年1月18日

物語の役割
物語の役割
小川洋子(小説家)
第1部「物語の役割」 物語とは本の中だけにあるわけではない。大きな何かに直面した時、人は現実への認識を改変してでも心の中に「物語」を作り出し、現実との折り合いをつけながら生き抜いている。 ホロコーストの悲惨さ、家族の死を経た人々の苦悩、そうした中で生きる彼らの中に形成された苦しい現実を乗り越えるための物語が例に挙げられている。こうした凄惨な現実ほどでは無いが、自分にも、苦しい状況下で何とか気を振り絞り、歯を食いしばりながら前に進もうと足掻いていた時期が幾度かある。折れそうな心の中で自分を突き動かしていたのは、人との関わりの中で、いつの間にか自分の中に形成されていた物語だったと改めて気づかされた。
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