鍋の底 "ムーミン谷の彗星 [新版]" 2026年1月18日

鍋の底
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@nabebosoko0829
2026年1月18日
ムーミン谷の彗星 [新版]
ムーミン谷の彗星 [新版]
トーベ・ヤンソン,
下村隆一,
冨原眞弓,
山室静
孤独な彗星は地球にみるみる近づいて、天文学者の予言通りに落っこちる。海はひからび、森の木々は立ち枯れて、災厄はちゃんとムーミンたちに訪れる。肝心なことは、災厄そのものなくすことではない、そんなことはどだい不可能なのだから。かと言って心配から目を背けて、なかったことにするのでもない。避けがたく訪れる困難なものを、必ずしも分かり合えない他人同士身を寄せ合って、どうやってやり過ごすか、そのあとどうやってやりなおしていくか。「もう、すんだのよ。わたしたちは、ほろびたかもしれないけど、ともかく、すんだのよ」(p.232)。 災厄が近づくなかにも楽しいことはあり、仲間が増えて、お互いにプレゼントを贈りあったり、ダンスパーティーに立ち寄ったり。こういうことがあとで「ばち」みたいに返ってこなくて安心する。同時に、そういう物語にいかに慣れ親しんできてしまったかを自覚する。良い目にあったからつぎは悪い目にあうんじゃないか、って、子どもの頃ずっと不安だった。朝の星座占いで一位だったとき、嬉しいよりも、次の日の心配をするようなやつだった。いい時も悪い時もあって、おたがいに含みあったりもしていて、それでふつうなんだ、そうだよね、ムーミン。
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