ユメ "契り橋 あきない世傳 金と銀..." 2026年1月10日

ユメ
ユメ
@yumeticmode
2026年1月10日
契り橋 あきない世傳 金と銀 特別巻(上)
以下、ネタバレを含む感想です。 シリーズ本編で活躍した登場人物たちの過去と未来を描いた短編集。どの話もしみじみと心に沁みた。 惣次が井筒屋保晴として生きるに至った経緯が綴られた「風を抱く」には胸を突かれた。幸や菊栄のことを距離を置いて見守っていた惣次に、こんな温かな縁と悲しい別れがあったとは。風に揺れる小米花(雪柳)の素朴な美しさと、それを教えてくれたひととの思い出を胸に抱きながらこれからも逞しく生きてゆくのであろう惣次の姿が、切なく心に残る。 五鈴屋江戸本店で支配人を務める佐助の今昔の恋を記した「はた結び」。本編でも少し触れられていた過去の恋の行く末には胸が痛んだが、新たな恋が実ったことは本当によかった。他の奉公人たちに温かく見守られているのも、佐助の真面目な人柄があってこそだ。 老いに悩むお竹を主役に据えた「百代の過客」もとてもよかった。限りある一生をどう終えるのかということについて、私も色々と考えさせられる。自分の出来ることを全うする、与えられた生を力一杯生ききると決めたお竹の姿に、力強く励まされる思いがした。 そして、一途に幸を慕い続けてきた賢輔の想いの行方を描いた表題作「契り橋」。シリーズのタイトルである「金と銀」という言葉に物語が帰結する様がとても美しく、胸を打たれた。川面を彩る金波と銀波、そして二人が持つ手巾の月白、色の描写が綺麗なのも印象深い。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved