ユメ "赤いモレスキンの女" 2026年1月16日

ユメ
ユメ
@yumeticmode
2026年1月16日
赤いモレスキンの女
赤いモレスキンの女
アントワーヌ・ローラン,
吉田洋之
私は文具が好きなので、『赤いモレスキンの女』というタイトルに惹かれずにはいられなかった。 パリの書店主であるローランは、ある日、ゴミ箱の上に捨てられていた女性のハンドバッグを拾う。そこに入っていたのは、赤いモレスキンの手帳と、サイン入りのパトリック・モディアノの本だった。ローランは、手帳に綴られた断片的な言葉から、急速に女性の内面に魅了されてゆく。手帳に記す文章には、その時々の心境が如実に表れるものだ。サイン本の為書きからロールというファーストネームだけ判明した女性がいったいどんな人物なのか、ローランが想像を掻き立てられるのも分かる気がする。しかも、彼女は自分と同じ本好きなのだから。ローランとロールは、本を通じて結びついているとも言える。それぞれの本棚の本の並べ方など、本にまつわる描写のディテールに心をくすぐられた。 ローランは、わずかな手がかりからロールを探し出そうとする。物語の展開自体に大きな驚きはないのだが、この大団円こそが望んでいたものなのだという素直な喜びを抱かせる力がある。クライマックスでの、「こんばんは、本を探しているんですが……」というひと言から始まるロールの台詞が、お洒落で好きだ。
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