
咲
@mare_fecunditatis
2026年1月18日
サド侯爵夫人・わが友ヒットラー
三島由紀夫
読み終わった
@ 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
去る1月14日、三島由紀夫101歳の生誕祭のため、日帰りで東京に行ってきた。
歌舞伎町の24時間営業の居酒屋で朝酒を飲み、紀伊國屋サザンシアターで「サド侯爵夫人」を観劇し、事前に依頼したフルオーダーの生誕祝いケーキを原宿に取りに行き、盛大にお祝いした。
ドナチアン・アルフォンス・フランソワ・ド・サド侯爵の悪徳。その妻であるルネの貞淑。
「私は、良人が悪徳の怪物だったら、こちらも貞淑の怪物にならなければ、と思いますの」
「アルフォンスはね、たった一つしか主題を持たない音楽なんです。私はその音楽に貞節を誓ったのです」
「お姉様は何でもそんな風に、理解と詩でアルフォンスを飾っておしまいになる。詩で理解する。あんまり神聖なものや、あんまり汚らしいものを理解するただ一つのやり方」
「だってアルフォンスは譬えでしか語れない人ですもの」
「あの人は朽ちない悪徳の大伽藍を、築き上げようといたしました。点々とした悪業よりも悪の掟を、行いよりも法則を、快楽の一夜よりも未来永劫に続く長い夜を、鞭の奴隷よりも鞭の王国を、この世に打ち建てようといたしました」
「この世でもっとも自由なあの人。時の果て、国々の果てにまで手をのばし、あらゆる悪をかき集めてその上によじのぼり、もう少しで永遠に指を届かせようとしているあの人」
「あの人の欲望は冒瀆によって燃え上る。あの人のおかげで娼婦も乞食も、一度は聖女にされたのでした、そのあとで鞭打たれるために」
「ルネ!打ちますよ!」
「さあ、どうぞ。もしお打ちになって、私が身をくねらして喜びでもしたらどうなさる?」
「ああ、そう言うお前の顔が…」
「何だと仰言るの」
「アルフォンスに似てしまった、怖ろしいほど」
「さっきサン・フォンの奥様がいいことを仰言いました。アルフォンスは、私だったのです」


