pamo "円卓" 2026年1月20日

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@pamo
2026年1月20日
円卓
円卓
西加奈子
小学3年生「こっこ」が見る、難しく醜く、美しい世界。 小学生の日常は自宅と学校の往復だけ。でも、そこにいる人たちはだれもが個性に富み、日々の生活はこっこの屈折した性格のおかげでツッコミどころだらけ。 ・ 登場人物が多いのでふとすると話に置いていかれてしまうのだけど、その全員が「この物語に登場する意味がある」人物で、そのことがそのまま「こっこに関わるすべての人がこっこの人生を形作っている」こと、「すべての人に唯一無二の個性があり、生きる意味があること」を表している。 小学生なりに、人生の上手くいかなさ、世の中の理不尽さにどう折り合いをつけて生きていくかを模索する姿に胸がギュッとなる。特に親友「ぽっさん」とこっことの、「こっこが格好良いと思っていても、真似してはいけないことがある」という議論は『カラマーゾフの兄弟』の大審問に匹敵する名シーン…はさすがに言い過ぎかもしれないが、でも「小学生が経験する、最初の<大審問>」を描いていると思う。「たとえ善の心であっても、自分の思いのままではいけない」「自分の思いのままを行動に表すならば、その責任は自分に返ってくる」子どもには難しいことを、こっこは親友たちと学んでいく。そして、「他者からの<思いのまま>を差し向けられる」という体験を通して、こっこは傷つき、大人になる。 ・ これからも長い人生が待っている「こっこ」の物語をどんなふうに閉じるのか…そのエンディングのカタルシスにもやられる。 この先もこっこには大変な人生が待っていることを、大人である私たちは知っている。 でも、この本を閉じるとき、こっこの生活を彩るさまざまな希望に、私の心まで救われる。
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