DN/HP "サンセット・パーク" 2026年1月20日

DN/HP
DN/HP
@DN_HP
2026年1月20日
サンセット・パーク
サンセット・パーク
ポール・オースター,
柴田元幸
これもやっぱり「この世はままならない」(『ザ・ドロップ』)という話だ。幾つかの「この世界のあまりに多きものとあまりに少なきものとによってバラバラに壊された人生を」小説のかたちに繋ぎ合わせることで、ままならないこの世、「壊れた世界」を描こうとする。そこに表れる人々の数えきれないほどの「傷とは人生の本質的な要素であって」描くべきものだ。LIFE IS PAIN。(MERAUDER)この小説も痛みだ。 図書館で借りたハードカバーではじめて読んだ、数年前の夏のことを思い出す。あのときはもう少し明るい気持ちで読んで、ずいぶんと軽い感想を持っていた気がする。そこから今までの期間を振り返ってみれば、そこにある変化も納得出来る、出来てしまう気がする。ああ、まさしく「この世はままならない」。LIFE IS PAIN。落ち込んでくる気持ちと裏腹に、それでもこの小説を以前よりもずっと素晴らしいと思っている。その素晴らしさもそこにあった感動も、まだうまく言葉に出来ないけれど、たしかに感動している。 今わたしはなにを感じているのか?「不可避の滅びと、持続する生の可能性との境目にまたがっている。全体として、状況は寒々としているが、希望を持たせてくれる徴候もいくつかある。希望とまでは言わずとも、諦めと絶望に屈してしまうには早すぎるという感覚」なのかもしれない。この小説で感動できたことは希望。そう思ってみれば、幾つも立てた付箋の一つひとつもその徴候なのかもしれない。この小説を読んだことももちろんそうだし、この文庫本がある日唐突にポストに届けられたことも、こんな感想を話してみたい人たちがいることも、きっと希望だ。まだ「諦めと絶望に屈してしまうには早すぎる」。わたしもそう思うことにした。今回もまた小説に救われた、そんな風にも思っておきたい。
サンセット・パーク
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved