
kibita
@kibita
2025年3月11日

読み終わった
「疲労」という曖昧な概念が納得感を伴って明らかになっていく。その過程が実に快感だった。
本書では疲労と疲労感の違い、さらに生理的疲労と病的疲労の違いをわかりやすく解説している。ただの仕組みの説明ではなく、「どのようにしてそれが解明されてきたのか?」という科学史的な視点も加わっており、知識が組み上がっていく感覚が楽しい。
特に印象に残ったのはメタゲノム解析の考え方だ。遺伝率はヒトのDNAだけで決まるわけではなく、マイクロバイオーム(ヒトに棲む細菌)やバイローム(ヒトや細菌に感染しているウイルス)もまた、遺伝のように伝わるという。つまり、私たちの体の中で生きる微生物が遺伝の一部として機能しているのだ。この視点は新鮮だった。
マイクロバイオームの解析にはヒトゲノム解析の100倍、バイローム解析にはさらにその100倍のコストがかかるらしい。それをどう乗り越えていくのか? 研究の進め方という科学の面白さを感じさせてくれた。
ただ科学的な知識が十分でない自分にとっては、少しずつ明らかになる仕組みを把握しながら読むのが難しかった。先に基本的な概念を押さえてから読んだ方が混乱せずに楽しめたかもしれない。
けれど、その試行錯誤も含めて知識が腑に落ちる感覚が味わえる一冊だった。