寡読書家
@kadokushoka
2025年3月6日

文学は実学である
荒川洋治
じゅうぶん読んだ
タイトルに惹かれて購入。名文連なる短編をしみじみと感じ入りながら読み進めてきたが一つの短編から先に進めなくなった。生身の人が生きる世に美や物語を見出す文学は私の光であったけれど、その行為が抱え得る身勝手さ罪深さに砂を噛む思いで本を閉じた。あの短編を書いた人物の文を私はもう十分に読んだ、ここまででよい、これ以上はなくてよいと明快に納得した。文を介して向き合う著者と私は時代や来歴や思想思考を共有しえない赤の他人同士で、このような読書体験もまた現実であると再確認。学びの大きい出会いだった