読書猫 "けんちゃん" 2026年1月22日

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2026年1月22日
けんちゃん
(本文抜粋) “本人はうまく隠れているつもりかもしれないが、丸みのある背中におどろおどろしい書体で「網走監獄 脱獄中」とプリントされていた。目立ちすぎる。脱獄があまりに下手すぎる。” “自分と同じように指が欠けて生まれてきた人がどこかにいる。数千人にひとりくらいいる。その言葉は希望にほかならなかった。” “あの子の存在を隠そうとした。ごまかそうとした。そこに存在していないかのように扱おうとした。彼女が写っていて何が悪いのだろう。自分が愚かしくて、情けなくて、記事を書き上げた喜びはすっかり消えていた。” “「かずにゃんいないの?」 かずにゃん。店長の和彦さんのことだ。何度聞いても違和感が拭えない。オーナーが和夫、長男は和彦、次男は和明。この一家の男は全員「かずにゃん」である。せめて「ひこにゃん」にしろよ。” “「や、山崎くんは、おっお母さんと離れるのが、さ、さみしくって、ご、ご飯の時間に毎日泣いてたのさ」 「けんちゃんは泣かなかったの?」 「ぼ、ぼかぁ、こ、子どもじゃないから、なっ泣かないさ」 「けんちゃん強いんだね」 「ぼ、ぼかぁ、プ、プリンを作ってるときに、こ、こっそり泣くのさ」”
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