
和月
@wanotsuki
2026年1月23日
ラブカは静かに弓を持つ
安壇美緒
読み終わった
バッハの無伴奏チェロ組曲を聴きながら読み進めていた。最初から最後まですごく面白かった!
現代の日本が舞台でスパイ×音楽ってどんな話なんだろう?と不思議だったけど、意外と身近な話題を基にしていて、社会問題を扱っている作品としても読み応えがある。
話の主題としては、どこに正義があるかではなくあくまで師弟間の信頼と絆を描いているのが良かった。2つの立場の狭間で苦悩する主人公の姿に、この先どうなってしまうのかとページをめくる手が止まらなかった。
登場人物達も魅力的で、浅葉先生の生徒達との交流も読んでいて楽しかった。音楽だけではなく、音楽を愛する人達と関わる中で、自分が外界に対して築いている壁を認識する主人公の描写が良かった。過去の事件を機に、自ら選んだ孤独が彼にとっての深海であったこと。音楽、師との出会いが深海に射し込む小窓の向こうの光となっていく構成がタイトルにリンクしていて、とても秀逸な作品だと感じた。
大人になると共に、弾かなくなってしまったピアノをもう一度弾きたくなる文章だった。



