@s_ota92
2026年1月23日
雪国
川端康成
p5
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」
p7
「悲しいほど美しい声であった。高い響きのまま夜の雪から木魂して来そうだった。」
p28
「蝶はもつれ合いながら、やがて国境の山より高く、黄色が白くなってゆくにつれて遥かだった。」
p54
「澄み上がって悲しいほど美しい声だった。どこかから木魂が返って来そうであった。」
p64
「箪笥の中を見れば、その女の性質が分るって言うよ。」
p69
「敬虔の念に打たれた、悔恨の思いに洗われた。」
p81
「葉子の悲しいほど美しい声は、どこか雪の山から今にも木魂して来そうに、島村の耳に残っていた。」
p105
「『駒ちゃん。』と悲しいほど澄み通る声で襖の陰から呼ぶ、あの葉子ではなかった。」
p106
「手拭をかぶっているので島村が見えないのか、葉子は山袴の膝頭を開いて小豆を叩きながら、あの悲しいほど澄み通って木魂しそうな声で歌っていた。」
p116
「聞こえもせぬ遠い船の人を呼ぶような、悲しいほど美しい声であった。」
p117
「純潔な愛情の木魂が返って来そうだった。」
p124
「駒子の愛情は彼に向けられたものであるにも関わらず、それを美しい徒労であるかのように思う彼自身の虚しさがあって、けれでも反ってそれにつれて、駒子の生きようとしている命が裸の肌のように触れて来もするのだった。」
p127
「それでいいのよ。ほんとうに人を好きになれるのは、もう女だけなんですから。」
p135
「その笑い声も悲しいほど高く澄んでいるので、白痴じみては聞こえなかった。しかし島村の心の殻を空しく叩いて消えてゆく。」
p149
「薄く雪をつけた杉林は、その杉の一つ一つがくっきりと目立って、鋭く点を指しながら地の雪に立った。」
p153
「駒子が虚しい壁に突きあたる木霊に似た音を、島村は自分の胸の底に雪が降りつむように聞いた。」
p163
「恐ろしい艶めかしさだ。」
p173
「駒子は自分の犠牲か刑罰かを抱いているように見えた。」