句読点 "水中の哲学者たち" 2026年1月24日

句読点
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@books_qutoten
2026年1月24日
水中の哲学者たち
少しずつゆっくり読んでいた本をようやく読了。 噂に違わず本当にいい本でした。 普通だったら見逃してしまうような日常の些細な出来事、ポロっと出た誰かの一言、忘れかけていた記憶、気を抜けばするすると自分の手から逃れてしまうようなものに、迷いながら、戸惑いながら言葉で輪郭を与えていくような文章。 上から目線ではなく、一緒の地平にたちながら、まさに哲学対話そのものを体験できるような本。 気が抜けているような文章かと思いきや、切れ味はかなり鋭くて、言葉も的確で、自分ではうまくモヤモヤして言葉にならないようなことも、比喩を巧みに用いながら、モヤモヤしたものに言葉で輪郭を与えてくれる。しかしその輪郭はカッチリしたものではなくて常に揺れ動いていて、ちょっと視点をずらすと全く違う姿を見せるようなものでもあり、そのことに対しても一緒に驚きながら、それでも問うことをやめない。哲学の入り口としてとても優れた一冊だと思う。 「哲学はすべてのひとに関係する。すべてのことにかかわることができる。重要でないと思われているものも、哲学対話では考えることができる。むしろ、普段は忘れられているようなものや、問われもしないようなことに耳を澄ませる。そしてまた同時に、議論の場で取るに足らないとされ、話を聞かなくてもいいとみなされているひとの話にも耳を澄ませる。人間を、ただの血の詰まった袋ではなく、宇宙の質量を持つサイコロとして扱う。ともに知を愛するために、本当の意味でともに哲学をするために。」p.88 「こわい」より。
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