管太
@r_f_1
2026年1月25日
生のみ生のままで 下
綿矢りさ
読み終わった
盛大で曲がりくねった超純愛の物語だと感じた。
最初は恋愛の矢印が向き合わなかった二人。それが時間をかけて矢印が向かい合うようになる。時には片方から矢印が向き、もう片方の矢印は別の方を向く。はたまたかつて強く太い矢印を向けていたのに時間が経つとそれが綺麗になくなり、逆に昔は薄い矢印を返すだけだったのが今度は大きな矢印を向け直していたりもする。
好きな人の好きな人になることは、難しい。恋愛のお互いの矢印が向かい合うことなんて、奇跡みたいなことだと思う。でも、逢衣と彩夏はそれを成し遂げてしまう。
二人はこの恋を運命と言うが(103頁、245頁等)、そんなものはまやかしなのかもしれない。この二人は恋愛の矢印が向かい合わなくても、それが向かい合うように大変な努力と行動をしている。片想いから掴み取った両想いと言える。人々は掴み取った恋愛の神聖さを称する言葉として運命と言うのかもしれない。
仲好く(241頁)、仲が好い(242頁)という言葉がでてくる。「仲良い」ではなく、「仲好い」。この漢字の選択こそが逢衣と彩夏のこれまで、そしてこれからの関係を示す言葉になっている。
やはりとんでもなくリアリティの高い小説で、面白かった。『激しく煌めく短い命』も楽しみ。





