
ばるーん
@ballo____on
2026年1月25日
共に明るい
井戸川射子
読み始めた
読んでる
表題を読んだ。
「私今からつらい話をしますね」と早朝のバスの車内に向かって一方的に語り出す女と同乗した複数人のそれぞれの認識が描かれる。
うつ伏せにして圧迫しながらでないと溢れ出すもの、その語りがバスの移動とともに、空間の内外の風景、カーテンと身体の境目を共にしていく。
境目から産まれた息子の失った指の境目の「遠目からだと、少し歪んで膨らむ直線」――欠を補うそれぞれの生が持つ境目は、「共に(痛くて)明るい」。
トンネルの端に置き去りにされている大きなもの。風で花が枝から逃げようとする。虹色のカーテン。併走する赤紫色の軽自動車。イオン……。
小説全体のトーンが、溢れて出そうなものを抑えて、それでもなお滲む何かで貫かれている。
一方的な他者の痛みに風景のように寄り添えるか。というお話だったと思う。
最後にすごい一文。
「座席のすみずみまでとはいかないが、くい込むように陽が当たりみんな、何て明るい。」


