猪
@ibu4_618
2026年1月11日
イワン・イリッチの死
トルストイ,L.N.,
米川正夫
読み終わった
一人の高級裁判官の一生を描いた作品。
まず面白いと思ったのが、物語の主役が、個性的なスターや天才ではなく、何の変哲もない、ある意味で「普通の」エリートである点。
どの時代にもいる普通のエリートが、出世や高い給料、社会的地位を追い求めてほどほどに成功を収めていくが、不治の病にかかり、精神的にも肉体的にも恐ろしい苦痛を感じ、孤独に過ごす中で、自分の人生はこんなはずじゃなかった、間違っていたとしきりに思いながら死んでいく。
個人的にはこの小説の薄さが好き。一人の人間の人生を描写しようと思うとこんなもんだよなと、ある種の開き直りを感じた。
また、自分がそれが正しいだと信じて疑わなかったものが、全て偽りだったと最後に気づく。本当はどうでも良いことだったと思い知るという恐ろしさもこの小説からの学びだ。
これだけ生成AIが進歩し、情報過多な時代なので、「これをすれば正解」「賢い人はこれをしている」のような正しい情報に踊らされる世の中だからこそ、それは自分にとって大事なのか、本当にどうでもいいことではないのか、生身の自分が一番生き切れる生き方をきちんと悩んで模索しなくてはいけないと感じた。