
kibita
@kibita
2025年3月11日

僕には鳥の言葉がわかる
鈴木俊貴
読み終わった
とても面白かった!
前半は駆け出しの鳥類学者の日常が描かれている。フィールドワークの様子がリアルに伝わり、それ自体興味深い。ただ、期待していた動物言語学の話とは少し違い、どこに向かうのか気になりながら読み進めていた。
しかし、後半になるとシジュウカラの言語能力に関する話が本格的に展開され一気に引き込まれる。
シジュウカラが「言葉を話すのでは?」という気づきのきっかけは意外とシンプル。
警戒対象によって鳴き声が変わり、それに応じてヒナの行動も変化すること。
この発見を起点に、シジュウカラの鳴き声が単なる感情表現ではなく「単語」として機能している可能性が浮かび、さらにそれを組み合わせて「文」を作る、つまり文法を持つのではないか?という研究へと発展していく。その過程が後半で一気に描かれ夢中になって読んだ。
特に文法を持つことの証明方法が面白い。
読みながら「どんな実験をするのか?」と自分でも考えていたが、まさかルー大柴の「ルー語」がヒントになるとは…!
さらに、前半で触れられていた「シジュウカラが混群(別種同士の群れ)を作る」という特徴が意外な形で再登場する。推理しながら読んでいたので「なるほど!」と伏線が回収されるような楽しさがあった。
このミステリのような面白さは意図的に仕掛けられたものではないと思うが、自分にとってはそれが一層面白さを引き立てた。
純粋に研究内容が興味深いのはもちろん、仮説が検証されていく過程が魅力的。まさに、研究の面白さを味わえる一冊。





