
トロ
@tontrochan
1900年1月1日
バイバイ、ブラックバード<新装版>
伊坂幸太郎
読み終わった
ちょっと開いた
五股をしている主人公・星野が縦にも横にもデカく色々と規格外な女・繭美と二ヶ月間行動を共にし、とある理由から【あのバス】に乗る前に五人の彼女たち全員と別れるというストーリーです。繭美はマツコ・デラックスさんみたいな方を想像しながら読んでました。まさに歯に衣着せぬというか、そういう発言がポンポン出てくるイメージです。はじめはおっかなびっくり接していた星野も、繭美の傍若無人としか言える言動を浴び続けて、それこそ作中で【猛獣】と形容される彼女の扱いに慣れてきて軽妙なやり取りを繰り広げる姿は伊坂先生独特の世界観が好きな方には必見です。
五人の女性は全員タイプが違っていて、星野は全員を愛していました。憎たらしいのが、星野は一人が本命で後の四人が浮気───というわけではなく、まさに全員と真剣交際だったとのこと。星野とどう出会い、どういう交際をし、どう別れるのかを時には苛烈に、時には緻密な描写で物語っていきます。どの女性も、開口一番別れて欲しいと訪ねてくる星野に「あれは嘘だったの」と問い掛けるシーンから始まるのが、この作品の軸だと思います。ブラックバードは不吉な鳥、不幸の象徴。それにバイバイ、さよならをする話がどう着地していくのか。伊坂先生独特の、軽快でポップな作風が凝縮されている一作だと思います。個人的に、五人目の女優の彼女との話が一番好きです。
余談ですが、読了後、太宰治の未完の遺作・【グッド・バイ】のオマージュだとあとがきで知りました。なるほど、恋多き太宰治という作家を投影した星野というキャラクターはこの物語に最適だったと、なるほどねぇー、と感嘆した次第です。読了後は、ほとんどの人が繭美を好きになるんではないでしょうか。

