トロ "グラスホッパー (角川文庫)" 2025年10月13日

トロ
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@tontrochan
2025年10月13日
グラスホッパー (角川文庫)
伊坂幸太郎作品の中で、私が殺し屋シリーズを好きになったきっかけをくれた作品です。 元教師の鈴木は、ある日最愛の妻を轢き逃げされ、亡くしてしまいます。復讐を誓い、その犯人・【寺原長男】に近づく為、裏社会に足を踏み入れ、虎視眈々と復讐の機会を狙っていましたが、ある日その忠誠心を【殺人をすること】で試される鈴木。懊悩する鈴木の目の前で、寺原長男は【押し屋】という殺し屋に殺されてしまいます。あまりにもあっさりと、復讐の機会を横取りされてしまうんです。その後【押し屋】を巡って、ナイフ使いの【蝉】、相手の目を見ただけで自殺させる【鯨】という殺し屋も絡んできて、この二人が出てきてからの疾走感はさすが、伊坂先生でした。私は後に発刊された【マリア・ビートル】を先に読んでいたのですが、一見陰惨なテーマでありながら殺し屋達は個性豊かで、どこか人間くさく、【蝉】と彼に仕事を斡旋する岩西の絆と呼ぶには少し気恥しいような関係には思わず唸ってしまいました。伊坂先生はあらゆる所に伏線を張り巡らせ、後半で一気に回収していく作風が特徴なのですが、これはまさかあの時の会話まで?そんなことまで伏線だったの?とかなり驚かされました。孤独相から群集相になった時、バッタはその環境に適した姿に変異する。"グラスホッパー"とはその異常行動をなぞらえたメタファーだそうですね。押し屋を巡る物語は個々で動いていますが、やがて集団のようにうねって、それぞれの性質さえも変えてしまう。なかなかに洒落たテーマだとまた唸っていました。
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