トロ "マリアビートル" 2025年10月6日

トロ
トロ
@tontrochan
2025年10月6日
マリアビートル
マリアビートル
伊坂幸太郎
舞台は東京発、盛岡行きの東北新幹線の車内。殺し屋の【天道虫】はとあるトランクを盗んで降りるだけの簡単な任務を請け負ったはずが、持ち前の不運の連続で降りることが出来ません。車内には息子に危害を加えた中学生に復讐を決意する【木村】、そのターゲットである悪魔のような中学生【王子】、双子のようで正反対な二人組の殺し屋【檸檬】と【蜜柑】、主にこの三組で織り成すクライムフィクションです。伊坂先生には珍しく、全く好感の持てない悪人(=【王子】)が出てくる作品だと思います。不条理で理不尽な話が続き何度か胸が苦しくなりましたが、怒涛の展開から目が離せず、噛みつく勢いで読んでました。この物語の好きな点は、まず何よりも「偶然が必然の顔をして歩いてくる」ところにあると思います。新幹線という、ただ前に進むしかない鉄の箱の中で、無関係そうな人間達が、実は同じ運命の糸にくくりつけられている。後に前作のグラスホッパーで名前が出ていた他の殺し屋や、登場人物が出てくるので、先にそちらを読んでいたらこのスターシステムは嬉しくなる布陣だと思います。そちらの備忘録にも書きましたが、殺し屋達は人間臭く、プロだけど失敗もするし、暴力的な状況下でもテンポのいい会話をしてくれます。【天道虫】こと【七尾】君は負のピタゴラスイッチみたいにカチッとハマるタイプの不運を日々、体験しています。あらゆる神の加護を打ち消しているのではと思うくらい、自他ともに認める不幸体質で、傍目から見ていればとても気の毒なんですが、本人は気付いていないだけで要所要所で救われていたりします。 時に、私は【きかんしゃトーマス】を知らなかったのですが「ディーゼルは悪いやつ」というのは、この作品のおかげで、一生忘れることはないと思います。一応、ブラッド・ピット主演の【ブレット・トレイン】も観賞しましたが、題材を借りた別物でしたので、そちらはお勧めしません。
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