@s_ota92
2026年1月28日
伊豆の踊子
川端康成
温泉宿
p48
「彼女等は獣のように、白い裸で這い廻っていた。」
p50
「その濡れた黒々しさを、ほかの彼女等は日頃から、二人の生れつきの色情の匂いと感じる。」
p53
「葉のつやつやしい青の山葵を、背負い枠一ぱいに負って、山から裸馬を走らせてくる彼女は、緑の朝風だった。」
p63
「真白な蛞蝓のように、しとしと濡れた肌───骨というものがどこにも感じられない、一点のしみもない柔かな円さだ。」
p73
「お時は目の窪んだ、鈍い百姓だが、湯殿では色白の肌が別の姿のように美しい。」
p84
「祭を待つ曲馬娘のような生きしさで、しかし一方、彼女の癖の自分の葬式の幻を描いている。」
p95
「まことに風の便りである。」
p97
「こぼれた月の光に足をさらしながら、」
p101
「お清は無理に起き上って、自殺の覚悟をした。」
抒情歌
p106
「それほどまでに今も私はあなたを愛しています。」
p108
「けれども、屋根の上に温室のある部屋で、四五十人もの女が集まり、いち時に思い出の競争をいたしましたなら、部屋から立ちのぼるはげしい悪臭のために、温室の花はみんな枯れてしまうでありましょう。」
p111
「私の天使の翼は折れてしまったのでありました。」
p126
「あなたという恋人のある時、私の涙は夜の眠りに入る前に、私の頬を流れたのでありました。ところが、あなたという恋人を失った当座、私の涙は朝の目覚めに私の頬を流れていたのでありました。」
p133
「子供の心に宿っていた天使が私を見棄てたのでありましょうか。」
p137
「このように愛し合った私達でありながら、そうして二人の恋を予知した私でありながら、なぜ私はあなたと綾子さんとの結婚や、またあなたの死をさとることが出来なかったのでありましょう。
なぜあなたの魂はあなたの死を私に知らせて下さらなかったのでありましょう。」
p140
「けれども今日この頃の私は、霊の国からあなたの愛のあかしを聞きましたり、冥土や来世であなたの恋人となりますより、あなたも私もが紅梅か夾竹桃の花となりまして、花粉をはこぶ胡蝶に結婚させてもらうことが、遥かに美しいと思われます。」
禽獣
p144
「小鳥の鳴声に、彼の白昼夢は破れた。」
p151
「そして籠を枕もとに置いて、彼も眠った。」
p160
「彼女の肉体の野蛮な頽廃に惹かれた。」
p161
「このボストン・テリアのように、千花子は子供に無心でいられなかったのである。」
p164
「舌ざわりは哀憐の涙を催すほどであった。」
p166
「初恋人に似た女を愛する。」