
torajiro
@torajiro
2026年1月28日
芥川賞受賞当時バタバタしていて読み忘れたままになっていた作品をやっと読みました。良かった。
「おいしいごはんを食べること」は幸せというものを思い浮かべるときにしばしば欠かせないものとして出てくると思うし、食が幸せの一部になっている人も少なくないし、逆に食が欠けていること不足していることには幸せとは逆の何かを連想させるようなところがあると思う。一方で現代社会の目まぐるしく、そして楽しみや刺激が無限に存在する生活の中で、「おいしいごはん」への感覚や関心が薄い人というのはたくさんいるのだろう。そして社会的には「おいしいごはん」イデオロギーが強い中で、窮屈や違和感を感じて過ごしている場面というのもたくさんあるのだろう。
でも、どうなんだろう。趣味や嗜好が多様化し、個人化が進んできて、食うに困ることもありがたいことに少なくなっている社会の中では「おいしいごはん」は旧態依然としたイデオロギーとして追いやられて、趣味嗜好のひとつに相対化されるべきものなんだろうか。食というものはもう少し私たちに重要な何かのような気もする。こども食堂などの取り組みが提供しているものは主人公が欲していた「一週間食べなくて済むサプリ」の代替機能だけというわけではないのではないか。まさに「おいしいごはんが食べられますように」はみんなの願いであって良いような。食にしろ仕事にしろ生きた心地、生きがいを感じる瞬間や関係というものが大事で、それが現代のありふれた私たちの生活の中には不足しているということだろうか。



