のーとみ
@notomi
2025年3月11日

異常【アノマリー】
エルヴェ・ル・テリエ,
加藤かおり
かつて読んだ
エルヴェ・ル・テリエ「異常(アノマリー)」をようやく読んだ。2023年に、Kindleの半額セールで買ったまま放置してたら、文庫化されて解説を斜線堂有紀さんが書いてるというので、その解説を読むためにも本編を読んどかなきゃと読み始めたら、これが面白いというか、あまりにも変なのにスルスル読めちゃうし、話がどこに向かうのか序盤では全く読めないから、ついつい読み進めて、気がつくと読み終わってたw いや、これはもう面白かったと言っていいんだと思う。しかし、この壮大なコメディというか、凝りに凝った人間喜劇のパロディというか、捻くれまくった小説が、フランスでは発売1年で100万部超えたというのだから、フランス人って変だなあw ちょっと羨ましい。とはいえ日本でも発売から2年半で文庫化だから、結構売れてるのだろう。写真は私が読んだハードカバー版でへなちょこだけど、文庫版の表紙は売れそうだし、これから本格的に読まれるのかな。
内容は、何書いてもネタバレになるから、触れないけど、感触としては、「巨匠とマルガリータ」を、「唐獅子株式会社」の頃の小林信彦がSFとミステリの手法を借りてパロディにしたみたいな話だった。冒頭が作中でも触れられてるように、ミッキー・スピレーンの殺し屋小説みたいなのも小林信彦っぽい。で、人物描写と背景の設定の意地の悪さは斜線堂有紀っぽい。その上でエルトン・ジョンで泣かせたり、SNS批判やったり、コロナ禍真っ最中に執筆されてるのに、パンデミック後のアメリカを予言的に描写してたり、子供たちのキャラがやけに良かったり、若い娘に夢中になるオッサンに容赦なかったり。
SFみたいな設定だけどSFではないし、殺し屋もアメリカ空軍も大統領も出てくるけどポリティカルスリラーでもなく、これはやっぱりメインストリームの文学作品なのだとは思う。ただ徹底的にふざけてる。パンクだw さて、本屋行って、ネタバレ全開らしい斜線堂さんの解説読まねば。

