
カミーノアン
@kaminoan3699
2026年1月28日
コンビニ人間
村田沙耶香
読み終わった
心に残る一節
感想
読書日記
再読予定
再読完了
再読して強く印象に残った文章がある。
「外から人が入ってくるチャイム音が、教会の鐘の音に聞こえる」
普段の生活では社会にとっての異物である主人公が、「コンビニの店員」という役割を引き受けた瞬間、世界から受け入れられる。その転換を告げる音として、チャイムは宗教的な祝福のように鳴り響く。
コンビニという場所は、彼女にとって単なる労働の場ではなく、「ゆるぎない正常さ」を信仰する宗教施設なのだ。再読して感じた「社会という宗教」という感覚は、まさにこの一文に凝縮されていた。
一方で、「皆、変なものには土足で踏み入って、その原因を解明する権利があると思っている」という言葉は、社会のもう一つの顔を突きつける。異物を排除するだけでなく、分析し、説明し、理解したつもりになる暴力。それは善意や正義の顔をしている分、より傲慢で鬱陶しい。
そして極めつけが、「普通の人間っていうのはね、普通じゃない人間を裁判するのが趣味なんですよ。」ここで描かれるのは、誰かを“異常”と名指すことで、自分の正常さを確認し続ける人間社会の構造だ。
主人公はそれに抗うわけでも、迎合するわけでもない。まるで人間社会を観察する「人間あらざるもの」の視点で、淡々とそこに在り続ける。再読すると、この距離感こそが本作の核心であり、生きづらさを乗り越える物語ではなく、「そういう世界だ」と提示する冷ややかさなのだと気づかされる。
薄い一冊なのに、記憶の中で異様に重たい理由はここにある。世界各国で読まれているのも、きっと偶然ではない。









