
じゅん
@Insomnia___404
2026年1月29日
一次元の挿し木
松下龍之介
読み終わった
ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。大学院で遺伝人類学を学ぶ悠がDNA鑑定にかけると、四年前に失踪した妹のものと一致した。不可解な鑑定結果を担当教授の石見崎に相談しようとした矢先、石見崎は何者かに殺害された。古人骨を発掘した調査員も襲われ、研究室から古人骨も盗まれた。悠は妹の生死と、古人骨のDNAの真相を突き止めるべく動き出すが、予想もつかない大きな企みに巻き込まれていく──。
とうとう読み終えてしまい名残惜しい作品。
何が驚きかと、元々松下さんは小説家になりたいわけではなかったにもかかわらず、ここまで人を惹きつける作品を書けるという点だ。
かなり、いや相当羨ましいものである。
読了後は映画一本見終えたような充足感に包まれる。また、中弛みしない展開に巧みな視点誘導、そこかしこに散りばめられた伏線が一本となったとき、思わず声をあげそうになってしまった。
気持ちは主人公である悠と一緒だ。
“もう君と出会っていたのか……”と。
遺伝子の話も多く出てくるが、つい興味を惹かれてしまうくらいにわかりやすい。
ひとつの次元・方向だけで構成される状態、または「線」の広がりへの挿し木。SFめいた部分もありながら、何処かでもしかしたら……と思わせる描写がたまらない一冊だった。

