藤間あわい "イン・ザ・メガチャーチ" 2026年1月29日

イン・ザ・メガチャーチ
私にとって、小説はいつだって違う世界に連れ出してくれる優しい案内人だった。 でも、この小説を読んだとき、初めて「恐怖」を覚えた。そして一度ページを閉じた。そしてしばらく読むことができずにいた。ああ、なんて生々しくて、おぞましいのだろうと。 私は武藤澄香の最初の章でまるで私がそこにいるような感覚を覚え、震えた。体重を気にする私、パーソナルカラーや骨格診断といった診断に基づいて服やコスメを判断する私、悲惨なニュースを眺めては落ち込みインターネットの署名くらいしかできない私。どうして作られた物語なのに等身大の私がそこにいるのだろうと驚きを超えて恐怖を抱いた。 けれども読み進めていくうちに、恐怖は少しずつ薄れていった。この物語はファンダム経済の構造や功罪を描きながらも、大切なメッセージを発信してくれているように感じたからだ。 自分の信じる物語を選び取ること、その物語は私たちの生活を破滅させるかもしれないと同時に、私たちを救うかもしれないこと。そして物語を信じるのに遅いということはないということ。 結末は決してハッピーエンドとは言えないかもしれないけれど、自分たちで物語を選び取った主人公たちの姿は眩しく見えた。自分を使い切って何かに熱中する人たちの姿は、確かに眩しかった。そう思った。
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