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藤間あわい
藤間あわい
藤間あわい
@awai_moji
Twitter:@awai_moji 短歌を詠み、小説を書いています。持病の影響でたくさんは読めませんが、ずっと読書が好きです。
  • 2026年5月19日
    白ゆき紅ばら
    白ゆき紅ばら
    良い子は天国へ行く。悪い子はどこへでも行ける。 帯のこの言葉とカバーの手触り(おそらくベルベットPP)、そして装丁に惹かれて購入した本だった。以前から寺地はるなさんの作品を読んでみたいと思っていて楽しみに読み始めたが、想像に反して終始じっとりと嫌なまなざしが胸に絡みついてくる生々しい物語だった。けれども、それだけでは終わらないところが好きだ。それぞれの場所で必死に戦い抜いた主人公二人の結末には希望も見えて闇の中にすっと一縷の光が差し込んだような読後感だった。『ババヤガの夜』の作者、王谷晶さんの解説も素晴らしいのでぜひ。
  • 2026年5月14日
    ゆびさきと恋々(14)特装版
    お互いのことをここまで大切に、優しく思い合える逸臣くんと雪ちゃんの関係が胸が締め付けられるほど愛おしくていつも泣きそうになる。ずっと一緒にいたいという二人の切実な思いがしんしんと心に沁み込んできて、ラストの展開には胸が震えた。最高純度の愛を描き出す『ゆびさきと恋々』が大好きだ。
  • 2026年5月10日
    あなたに犬がそばにいた夏
    あなたに犬がそばにいた夏
    夕焼けのボーナストラック。小焼けってそういうイメージ、って言ってみる 知らない景色やそれを詠んだ短歌なのに、全てが愛おしく懐かしく感じられる、不思議な心地がした。インクが乗ってざらりとした紙の質感やページを捲る時の手触りなど全てをひっくるめて「本」として好きな本だった。
  • 2026年5月9日
    逆ソクラテス
    逆ソクラテス
    5篇の短編全てが好きだった。伊坂幸太郎さんの作品のちょっとずつ世界が繋がっているところが楽しくて、そしてどの繋がりに気づいた時も胸がじんとした。5篇の中でも特に「アンスポーツマンライク」がお気に入りで、いつもあと一歩を踏み出せなかった主人公が信じる仲間がいたからこそ一歩を踏み出せたところに感動したし、手に汗握る展開にどきどきとページを捲る手が止まらなかった。 子供の世界は狭くて、そんな世界をひっくり返すことは途轍もなく勇気がいる。それでも反逆の狼煙を上げる登場人物の子供たちに勇気をもらったし、私も先入観で決めつける大人にならないように気をつけたいと思った。
  • 2026年5月8日
    うれしい近況
    うれしい近況
    過ぎた日が遠ざかるほどその日したグータッチからまばゆい光 ほんとうに? 置いてけぼりに思うときそこは先頭かもしれないよ 全ての短歌が大好きな歌集に久しぶりに出会った。いつもは特に心に残った一首を書き留めるのだが、どれも好き過ぎて絞りきれず二首になってしまった。グータッチの歌はいつしか大好きなプロゲーマーとイベントの退場時に交わしたほんの一瞬の、けれども永遠の時間を思い出して目頭が熱くなった。日常にそっと寄り添い、同じ速度で歩いてくれる歌たちが素敵で何度でも読み返したくなるおいしい水のような歌集だった。
  • 2026年4月25日
    花は泡、そこにいたって会いたいよ
    くちびるをぬぐう指先の桃色 笑ったら笑っただけの花の嵐だ 初谷むいさんの短歌は音楽みたいだなと思っていたので解説でその答え合わせができたようで嬉しかった。リズムが心地よくて言葉は歌詞のようで。シンガーソングライターのような素敵な歌人の方だなと思う。
  • 2026年4月22日
    banana flavored chewing gum
    笑ったのわからなかった……背後からいきなり朝がきたと思った この歌が一番好きだった。きっと目を細めるほどまぶしく光る笑顔だったのだろうなと思って朗らかな気持ちになった。また、章タイトルの時点でわくわくする本は久しぶりで感動した。一つ一つのタイトルが個性的で興味深くてより短歌が楽しく読めた。
  • 2026年4月22日
    きみを嫌いな奴はクズだよ
    戦争が両目に届く両耳に届く時間を与えられずに 今の情勢を表すような歌で、胸がきゅっと引き絞られるような心地だった。戦争について詠んだ短歌の章「無色の虹」はぜひ今多くの人に読んでほしいと思った。
  • 2026年4月17日
    太陽帆船
    太陽帆船
    フルムーン 好かれないこと落ち度ではないはずでしょう誰にとっても 『太陽帆船』は私が初めて購入した歌集であり、短歌を詠み始めたころからずっとそばで静かに佇んでくれている。瑞々しい生花のように。 今日心に刺さったのはこの歌だった。SNSで知らぬ間にブロックされていると、攻撃の意図はなくただの棲み分けだと頭では分かっていても落ち込むことがある。そんな絶えず刻まれる傷跡を柔く撫でてくれたような気がした。
  • 2026年4月17日
    お守り短歌アンソロジー わかれる
    それはなかった春の思い出 さくら味のさくらを見てた 忘れたりないよ 初谷むいさんの連作が一番心に響いた。タイトル、短歌、あとがきを含めて一つの作品として好きだ。この短歌アンソロジーは短歌はもちろん、作家のあとがきが素晴らしいと思う。特に惹かれたのは志賀玲太さんの「ものを捨てることが苦手です。読みこなせなかった本もうまく使えなかった道具も、手放してしまえばそれを大事にできた『可能性』や『選択肢』ごと捨ててしまう気がして、つい部屋の隅に置いたままにしてしまいます」という文章だった。置かれたままの赤本、予備校の参考書、電池の切れた電子辞書。私もいつか、夢破れた先にある生活に期待できるようになれたらいいなと思った。
    お守り短歌アンソロジー わかれる
  • 2026年4月16日
    夜明けのすべて
    夜明けのすべて
    持病と長く付き合わなければならない身として、病気になる前の自分が好きだと言う山添さんの気持ちが痛いほどわかったし、病気とは十年二十年付き合うものですからと言われた時の絶望を思い出して苦しくなった。藤沢さんの薬でどうにもできない苦しさ、山添さんの薬に頼らざるをえない苦しさ。どちらもしんどいのだと理解が広まるといいなと思う。そして私が欲しかったのは慰める誰かでも光のところにいる手を差し伸べる誰かでもなく、現実を一緒に戦う同志だったんだなと思った。
  • 2026年4月14日
    死のやわらかい
    死のやわらかい
    (美しい・醜悪な)あなたをずっと(許せない・愛してる)私をどうか(嫌ってください・知らないでいて) 読むのは2回目だった。重いテーマを取り扱いつつも気が沈むことなく、軽やかに読み終えることができるところが好きだなと改めて思った。ハッとするような発想の短歌、しみじみと心に沁みる短歌、くすっと笑える短歌。チョコレートアソートのように楽しめるバランスの良い歌集だなと思う。
  • 2026年4月5日
    夜なのに夜みたい
    空調がきびしい席を移動してまぶしい席で続ける学び 空調の効いた自習室ではなく、寒々とした廊下で受験勉強をしていたあの頃がぱっと蘇った。今回はより情景が鮮やかに浮かぶ短歌が多くて、いつもの岡野さんの短歌とは少しテイストが違う気がして(いつもが昼下がりなら今回は真夜中のイメージ)新鮮だった。文章だと「温度」が一番好きだった。春が訪れる少し前の季節を思い出す、まさに光の麗らかな温度や空気の柔らかな手触りが伝わってくる素敵な文章だった。 そして題名に入っている「夜」の通り、夜の道をぽつんと一人、誰もいないことを確認して好きな曲を小さく口ずさんでいる帰り道を歩いているようなそんな気分になる歌集だった。またお気に入りの道のようにふらっと手に取りたい。
  • 2026年4月5日
    ミトンとふびん
    ミトンとふびん
    表題作の「ミトンとふびん」が一番好きだった。人の「死」という大きなテーマを扱いつつも、特別ドラマティックな展開はなく、淡々と残された人々の非日常のような日常が描かれているところが好きだった。そして作中のフィクションの山あり谷ありのドラマティックな人生でなく、トラブルがなくて春風が吹いているようなしみじみとした幸せにあふれた人生がいいと主人公が考える場面に深く頷いた。何か特別なことが起こらなくても人生は続くし、そのつつがなさがきっと一番幸せなんだと思う。
  • 2026年4月1日
    デッドエンドの思い出 (文春文庫)
    「いい環境にいることを、恥じることはないよ。武器にしたほうがいいんだよ。もう持っているものなんだから」 「世の中には、人それぞれの数だけどん底の限界があるもん。俺や君の不幸なんて、比べ物にならないものがこの世にはたくさんあるし、そんなの味わったら俺たちなんてぺしゃんこになって、すぐ死んでしまう。けっこう甘くて幸せなところにいるんだから。でもそれは恥ずかしいことじゃないから」 恵まれていることに引け目を感じている今の私にとって、とても響く言葉だった。表題作の「デッドエンドの思い出」が私も作者の吉本ばななさんと同様に一番好きだ。表紙のイラストがとっても素晴らしいので(読了後だとより一層沁みる)、ぜひ手に取ってみて欲しい。
  • 2026年3月14日
    光のとこにいてね (文春文庫)
    読後、感想が出てこない本は久しぶりだった。 何も感じなかったからではない。胸の裡に言葉や感情が数多渦巻いて言葉にならなかったからだ。 言葉にできない関係性、想い。何もかもを言葉にする小説であえて言葉にされないもの、されなかったもの。 しばらくただ余韻に浸っていたい。
  • 2026年3月10日
    シェニール織とか黄肉のメロンとか
    初めて読む江國香織さんの物語だった。ころころと変わる視点に最初は戸惑いを覚えたものの、読み進めていくうちに登場人物がいきいきと動き出して楽しく読み終えた。文庫版の金原ひとみさんの解説が読後にちょうど良い素敵な文章だったのでぜひ。
  • 2026年3月10日
    ブレス(8)
    ブレス(8)
    「恐ろしいのは才能がある奴じゃない 才能がないとわかったうえであがいてくる奴だ」 8巻を読んでいて、1巻のこの帯の言葉を思い出した。『ブレス』で一貫している、才能への考え方がすごく好きだ。僕には才能がないと歯噛みして、けれども今までたくさんのものをもらってきたと前を向くアイアくんのまなざしが一等かっこいいと思った。
  • 2026年2月28日
    これもすべて同じ一日 (角川文庫 き 9-1)
    「幸福はいつも一瞬だから」「つま先だけが恋をした」「夜明けの空に青白く夢のちらばる恋でした」 小学生の頃ぶりに詩集を読んだ。どの言葉も私の心に深々と降り積もり、やがて溶けた。冷たいような、温かいような、不思議なぬくもりにあふれた詩集だった。生涯手元に置いておきたくなる、そんな詩集。
  • 2026年1月31日
    ババヤガの夜 (河出文庫)
    「読ませる」小説に久々に出会った。 最近は持病の影響もあり少しずつ小説を読むことが多かったのだが、読み始めから惹き込まれて、気がついたらノンストップで読み進めて、いつのまにか読み終わっていた。今の世界で「女」として生きる息苦しさを血まみれの拳で「シッ」と打ち破ってくれるような、痛快という言葉がぴったりの作品だった。
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