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藤間あわい
藤間あわい
藤間あわい
@awai_moji
Twitter:@awai_moji 短歌を詠み、小説を書いています。持病の影響でたくさんは読めませんが、ずっと読書が好きです。
  • 2026年10月6日
    あなたのための短歌集
    違いとは間違いじゃない窓ひとつひとつに別の青空がある 何回か読み返している中で、今日響いたのはこの歌だった。個性を大事にと言いながら真に個性的な人は排除する教室の灰色の空気に絶望していた過去の私にこの短歌を送ってあげたい。
  • 2026年10月6日
    あなたとわたしの短歌教室
    誰かを救えないのなら、短歌は無意味なものでしょうか。生きていくのに必ずしも必要でないなら、短歌を作ってはいけないのでしょうか。私は、そんなことはないと思います。なぜなら、私たちが罪悪感に苦しんでも、誰かの苦しみを救うことにはならないからです。そして、私たちが楽しむことには、誰かの苦しみを救うのと同じくらい、価値があるからです。 この引用部分が特に心に響いた。短歌の技法を伝えるのはもちろん、筆者の伝えたいことやメッセージがたっぷりと含まれていてこの本は短歌の「技術書」にとどまらずタイトルの通りの「短歌教室」だなと思った。レッスンの中でも3日目の「実景+つぶやきで短歌を作ろう」と5日目の「折句で短歌を作ろう」が私にとっては学びになった。今度は自分も課題に挑戦しながら読み返したい。
  • 2026年9月30日
    口の立つやつが勝つってことでいいのか
    「その水に馴染めない魚だけが、その水について考え続けるのだ」 Twitterで度々話題になるこの一文から気になって購入した本だった。今までエッセイというと筆者が上手く味付けしたエピソードを楽しむものという認識が強かったのだが、この本は「いや、自分はそうは思わないな……」「うーん、賛同できないかも」「これはわかるなあ」「確かにそうだ」などじっくり対話するように読むことができてそれが楽しかった。娯楽としての読書の一面はありつつも久しぶりに「考える読書」をした。面白い体験だった。
  • 2026年9月11日
    流浪の月
    流浪の月
    もともと気になっていた作品で、100万部記念の美しいグリーンに一目惚れして手に取った。 読み始めたらページを捲る手が止まらなくて、一気に読んでしまった。誰かのことを勝手に推量して、勝手に慮って、勝手に優しくする。本作で何度も繰り返される優しさの暴力に息が詰まったと共に、私もきっと誰かに優しさの暴力を振るっているのだと思うと怖かった。 陽の光が降り注ぐ道は歩けずとも、二人の行先がどうか優しい月明かりに照らされていますように。そう願わずにいられない物語だった。
    流浪の月
  • 2026年9月2日
    新しい恋愛
    新しい恋愛
    『新しい恋愛』というタイトルに斬新な発想の恋愛が詰め込まれた小説なのかなと思っていたのだが、どちらかというと「人間は昔から皆同じような恋愛を辿っているのだな」という感想を抱いた。大人だからと言って「ちゃんと」しているわけではなくて不倫も浮気も案外そこら辺に転がっている。そこのリアルさが好きだった。 特に印象に残ったのは「お返し」の、「ただ、自分のことを好きだって言っただけの人のこと、はっきり記憶し続けているなんてすごいじゃんね。わたしだったらホワイトデーにどんな豪華なお返しをもらうのより、そっちがいい。ずっとわたしのことを覚えていてくれるっていう、お返し」という台詞と、最後の「いくつも数える」という短編だ。特に「いくつも数える」は物語の終わり方が秀逸で、読み終えてタイトルを眺めた時に湧き上がってくるえもいわれぬ感情に打ちのめされたので是非読んでみてほしい。
  • 2026年8月28日
    月まで三キロ
    月まで三キロ
    今まであまり触れてこなかった自然科学をはじめとする理系分野の知識がさらりと詰め込まれていてとても興味深く、そして楽しく拝読できた。また、専門的な知識を織り交ぜつつも説明くさくならないところに作者の力量を感じて感嘆した。ほろ苦くも美しく心に沁みる『星六花』が一番好きだった。
  • 2026年8月13日
    月がきれいな夜に、誰かに思い出してほしかった
    タイトルと装丁の美しさに一目惚れして書店で手に取ったが、中身も素晴らしく良かった。恋愛が成就してさあやっと一人前という風潮から解放されたと思ったら、次は結婚、次は子育てとどんどん更新されていく世間の「当たり前」に苦しめられながらも、全力で悩んでもがいて泣いて笑って向き合う主人公の在り方に元気をもらった。自分にとっての唯一がなくても、絶対がなくても、必ずどこかで誰か見てくれている人がいて、私たちは誰かを生かし生かされている。そう思える物語だった。
    月がきれいな夜に、誰かに思い出してほしかった
  • 2026年8月8日
    湯気を食べる
    湯気を食べる
    使う語彙やオノマトペが似ているからだろうか、まるで「私が書いた!?」と思うほどしっくりと頭と心に馴染む文章で拝読していてとても楽しく、リラックスできた(技量は遠く及ばないが)。 そしてとびきりおいしい文章の中に時折混じるきりりとしたスパイスのような辛口の言葉が印象的だった。柔らかく優しいだけでない、くどうれいんさんの芯を感じた。 食べることも作ることも大好きな私にぴったりのおいしくて心強い味方のようなエッセイだった。何度も読み返したい。
  • 2026年8月4日
    暮らしの信じ方
    文学フリマ東京42で初めてエッセイを書いて短歌と共にZINEとして販売した。それを機にエッセイを読み始めた。順序が恐ろしく逆である。 小説と違って日々が淡々と綴られるエッセイは一気読みとはいかず、どうしても少しずつ読み進めることが私は多いのだが、このエッセイは珍しく半日かからず読み終えた。 ドラマチックではない、展開に序破急があるわけでもない、けれどもなぜだか一気読みしてしまうのは作者の素晴らしい筆力の賜物であり、私もこういうふうな文章を書けるようになりたいと心から思った。 そして、帯の「特別な経験がなくても、熱く語れるものがなくても、積み重ねてきた「日常」の中に自分はある。」という一文がとても心に響いた。つつがなく続く日々の中にこそ自分が宿るなら、もうちょっと日常を大切にしてみようかなと思える文章で好きだ。私は私の暮らしを、もう少し信じてみたい。 あと、付録のダイカットしおりがとても可愛いのでぜひ手にとってみてほしい。
    暮らしの信じ方
  • 2026年7月30日
    平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版
    しかし、誰もが取り返しのつかない人生を背負った、のっぴきならない固有の存在である。(中略)でも、僕は思う。身近な他者の痛みに敏感でない人が、日常生活の機微に美しさを見出せない人が、かつての自分のような人が、本当に社会や世界のことなんか考えられるのだろうか、と。 4章が一番心に響いた。「弱くある贅沢」というタイトルから「弱さ」について語られた二篇のエッセイ丸ごとがどうしようもなく胸を打つ。自分自身が「弱い」存在であること(になってしまったこと)にずっと引け目を感じていたが、「弱い」からこそ考えられることがあり、見えてくるものもあるのだろうと読後心から思えたのが良かった。弱さを否定せず、弱いまま世界に存在し日々をつぶさに見つめ続ける著者のおかげで、「弱い」ことは悪いことではないと憑き物が落ちたようにそう思えたのは、とても大きな収穫だ。
  • 2026年7月15日
    多類婚姻譚
    多類婚姻譚
    連作短編の良さを存分に発揮しつつ、五篇それぞれの視点や切り口の多様さに五人の作家が書いたアンソロジーを読んでいるような気持ちになった。一人の人間がこんなにも素晴らしく素敵で豊かな物語を書くことができる。それを教えてくれる凪良先生は希望のひとだなと思う。 一話目でナイフを突き刺し、二話目で突き刺したナイフで肉を抉り、三話目でナイフを引き抜いて、四話目で今度は別のところにナイフを刺し、五話目でとどめを指すような、そんな物語たちだった。最高の読書体験だった。
  • 2026年7月8日
    ライオンのおやつ
    「逆転満塁ホームランじゃなくていいんだよと、私は先生に伝えたくなった。そんなに簡単に、自分の生き方を変えることはできないもの。でも、自分の人生を最後まであきらめずに変えようと努力すること、そのことに大きな意味があるのだと思った。」 生まれてきたこと、生きていることに感謝をする境地に私はまだまだ至れないけれど、いつか生きていてよかったと思える日が来るようにずいぶん諦め気味の人生をもう一度生き直すような気持ちでまずは明日を過ごしてみたいと思った。
  • 2026年6月30日
    わたしたちが光の速さで進めないなら
    わたしたちが光の速さで進めないなら
    久しぶりに読んだSFだった。揺るぎない知識と深い思索に支えられた、SF特有の未知に触れるわくわく感をたっぷり味わえる作品で好きだなと思った。色彩豊かな短編のなかでも、特に好きだったのは「館内紛失」だ。母と娘という複雑な関係をさらにがんじがらめにしたような主人公とその母の関係が、最後にほどけるシーンが心に沁みて好きだった。そして海外の文学でありながら今までにないほどさらさらと読み進められて翻訳者さんたちの努力に感嘆した一冊だった。
  • 2026年6月17日
    西洋菓子店プティ・フール
    千早茜さんの作品はまさに「細部に神は宿る」という言葉を体現したように隅々まで丁寧に描かれていて、いつも文章への知識の落とし込み方と取材力に心から感嘆する。巻末の対談を拝読して、いかに熱を入れて取材と調べ物をされているかを知って物語の内容と共にプロの仕事のなんたるかを教えていただいた。甘いだけでないそれぞれの拗れた片思いと、とびきり甘く美しいお菓子のコントラストも好きだった。
  • 2026年6月10日
    明け方の若者たち (幻冬舎文庫)
    「五年前、この道を歩きながら自分たちを「勝ち組」だと思っていた僕は、今ではすっかり負けに慣れてしまった気もする。でもそれは、もしかしたらこれまでの人生が、敗北するほど挑戦していなかっただけなのかもしれない。」 どうしようもなく、どうしようもできない恋の話だった。主人公のどこまでも不純なのに純粋に思える愛と、彼女のどこまでも不誠実なのにどこか誠実さが滲む愛が不思議と魅力を放っていた。致死量の人間臭さを閉じ込めた物語だった。
  • 2026年6月1日
    夢のうた
    夢のうた
    つるばらのつぼみに初夏の空気ふれほどけるようにゆめからさめぬ / 錦見映理子 ひらがなの柔らかさが夢の中のようで心惹かれた一首。この季節に絶妙にマッチした情景が浮かんで爽やかな気持ちになる、暑い日にぴったりの短歌だった。
  • 2026年5月19日
    白ゆき紅ばら
    白ゆき紅ばら
    良い子は天国へ行く。悪い子はどこへでも行ける。 帯のこの言葉とカバーの手触り(おそらくベルベットPP)、そして装丁に惹かれて購入した本だった。以前から寺地はるなさんの作品を読んでみたいと思っていて楽しみに読み始めたが、想像に反して終始じっとりと嫌なまなざしが胸に絡みついてくる生々しい物語だった。けれども、それだけでは終わらないところが好きだ。それぞれの場所で必死に戦い抜いた主人公二人の結末には希望も見えて闇の中にすっと一縷の光が差し込んだような読後感だった。『ババヤガの夜』の作者、王谷晶さんの解説も素晴らしいのでぜひ。
  • 2026年5月14日
    ゆびさきと恋々(14)特装版
    お互いのことをここまで大切に、優しく思い合える逸臣くんと雪ちゃんの関係が胸が締め付けられるほど愛おしくていつも泣きそうになる。ずっと一緒にいたいという二人の切実な思いがしんしんと心に沁み込んできて、ラストの展開には胸が震えた。最高純度の愛を描き出す『ゆびさきと恋々』が大好きだ。
  • 2026年5月10日
    あなたに犬がそばにいた夏
    あなたに犬がそばにいた夏
    夕焼けのボーナストラック。小焼けってそういうイメージ、って言ってみる 知らない景色やそれを詠んだ短歌なのに、全てが愛おしく懐かしく感じられる、不思議な心地がした。インクが乗ってざらりとした紙の質感やページを捲る時の手触りなど全てをひっくるめて「本」として好きな本だった。
  • 2026年5月9日
    逆ソクラテス
    逆ソクラテス
    5篇の短編全てが好きだった。伊坂幸太郎さんの作品のちょっとずつ世界が繋がっているところが楽しくて、そしてどの繋がりに気づいた時も胸がじんとした。5篇の中でも特に「アンスポーツマンライク」がお気に入りで、いつもあと一歩を踏み出せなかった主人公が信じる仲間がいたからこそ一歩を踏み出せたところに感動したし、手に汗握る展開にどきどきとページを捲る手が止まらなかった。 子供の世界は狭くて、そんな世界をひっくり返すことは途轍もなく勇気がいる。それでも反逆の狼煙を上げる登場人物の子供たちに勇気をもらったし、私も先入観で決めつける大人にならないように気をつけたいと思った。
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