

藤間あわい
@awai_moji
Twitter:@awai_moji
短歌を詠み、小説を書いています。持病の影響でたくさんは読めませんが、ずっと読書が好きです。
- 2025年6月20日ハーモニー新版伊藤計劃読み終わったかつて読んだ映画のキャストに釣られてハーモニーを初めて読んだ中学生のころの記憶は朧げで、失礼にもSFの中では読みやすい文章だなと思ったこととミァハの悲惨な過去が脳裏にあった。あと、「良いものを読んだ」という感動も。 大人になった今読み返して、伊藤計劃さんの書くことを、考えることを諦めなかった文章に励まされた。伊藤計劃さんの小説は読む上でたくさん考えることを要求されるけれど、同時に考えられることへの喜びのようなものも教えてくれるような気がする。 章末の一人称のお話も好きだ。一人称についての部分は、私が小説を書く上での指標にもなっている。 気軽には読めない作品だが、またいつか必ず読み返したい、そう思った。
- 2025年6月16日太陽帆船中村森読み終わったかつて読んだ人生が長過ぎるより容赦なく君の不在が有り余ってる 今日心に響いたのはこの歌だった。何度も読み返しているのに、読むたびに何度だって新鮮な感動を味わわせてくれる『太陽帆船』という歌集が大好きだ。
- 2025年6月10日悪友榊原紘読み終わった祝福を 花野にいるということは去るときすらも花を踏むこと Twitterでみかけた紹介文に心惹かれて拝読した。章のなかだと「虹を」が一番好きだ。生死にまつわる榊原さんのまなざしが心地よかった。
- 2025年6月8日本なら売るほど 1児島青読み終わった読書が好きなつもりでいたけれど、この世にはまだまだ私の知らない本が山のようにあって、そしてその本一冊一冊に物語が詰まっていると思うと、素敵なロマンを感じた。本が好きな人とそうではない人が本を通じてひとときの交流を持つ、それが良い出会いでも悪い出会いでも本によってきっかけが生まれることが良いな……と思った。
- 2025年6月7日さんかく千早茜読み終わった五感全てが刺激され、鮮やかに世界が浮かび上がる初めて味わうタイプの作品だった。自分自身も料理をするし好きではあるが、「好き」だけではこんなにも明瞭な描写はできないと思う。千早さんの素晴らしい観察眼、技量にしみじみと浸った。 今回の『さんかく』が初めて拝読する千早さんのお話だったので、他の作品もじっくり味わいたい。
- 2025年6月5日Tugumiよしもとばなな読み終わった吉本ばななさんの、死の香りを纏っているのにどこか前向きでほのかな明るさが宿っている文章が好きだ。自分が死に近いところにいるからか、どうしても死の香りがするものに惹かれがちなのだが、吉本ばななさんの作品は読後心が沈むことなくほっとする。唯一無二の読後感だと思う。 この本を夏が来る前に拝読できたことをとても嬉しく思う。来年も、また読めていたらいいな。
- 2025年5月11日ブレス(7)園山ゆきの園山ゆきの先生の『ブレス』が、好きだ。 Twitterで初めてこの話を拝読した時、絵の放つ凄まじいエネルギーに圧倒された。白黒の中でこんなにも光を放つ絵を見たのは、初めてだった。 そして『ブレス』が素晴らしいのは絵柄だけでなく、言葉もだ。一つ一つの言葉が丁寧に、大切に紡がれていていつも勇気をもらえる。いつも読後は感動で泣いている。いっとう大切なことを『ブレス』は教えてくれる。 今回のお話も素晴らしく素敵で、続きがとても楽しみになった。焦がれるほどに眩い物語の行く末を、今はただ心から楽しみにしている。
- 2025年4月29日もものかんづめさくらももこ読み終わったエッセイの印象と、『その後の話』『巻末お楽しみ対談』でさくらももこさんの印象がガラリと変わってそれが面白かった。物事を具に見つめる洞察力と物事への達観がありながらも、出てくるエピソードは馬鹿らしくて面白くてそのギャップが魅力的だなと思う。特に「その後の話」の「そうか、もう読みたくないか、それじゃ仕方ないな、というのが私の感想であった。私はこれからもそのような人達の読みたくない物を書く恐れはいくらでもある。遅かれ早かれ受け入れてもらえない日は来たであろう。」「その人の人生はその人にしか分からないし、その人個人の考えに他人が介入する余地はない。」の文が印象的だった。また内容を忘れたころにふらっと読み返したい、そんなエッセイだった。
- 2025年3月30日雪のうた左右社編集部読み終わった東京の人は知らないだろうけれど雪はときどきひかるよ、青く くどうれいんさん、お名前だけを知りつつも作品に触れたことはなかった。でも、雪のうたの中でぱっと心を掴まれたのがこの一首だった。私は東京育ちなので青くひかる雪を知らない。くどうさんが見た青くひかる雪を、私もいつか見たいと思った。 くどうさんの他の作品を手に取る時が、とても楽しみになった。
- 2025年3月30日天才による凡人のための短歌教室木下龍也読み終わったどの章も素晴らしかったが、特に第3章「歌人として生きていく」が心に刺さった。 私は持病を患っているため、いわゆる「普通」のひとより死に近いところにいる。でもそんな私でも短歌を読んで良いことを「心身ともに健康であれ」ではなく「心身ともに普通であれ(普通はその人によって違う)」と表現していて救われた。死に近いことが普通の人もいるし、健康なことが普通な人もいる。短歌のことで死にたくなったら短歌を手放せば良い。木下さんの言葉の、ちょうど良い距離感と温度感が心地よかった。
- 2025年3月24日ロイヤルホストで夜まで語りたいブレイディみかこ,上坂あゆ美,似鳥鶏,古賀及子,宇垣美里,宮島未奈,平野紗季子,朝井リョウ,朝井リョウほか,朝日新聞出版,朝比奈秋,村瀬秀信,柚木麻子,温又柔,稲田俊輔,織守きょうや,能町みね子,青木さやか,高橋ユキ読み終わった私のロイヤルホストでの思い出は、酷くぼんやりとしている。 幼いころ水族館に行った帰り、坂の上のロイヤルホストに行ったことは覚えている。メニューも何を頼んだかもわからないけれど、看板のオレンジの印象だけが妙にくっきりとしている。 その後ロイヤルホストにお邪魔することはなかったのだが、一年ほど前、タイミーでロイヤルホストにて四時間ほど働いたことがあった。 野菜のカットも、調理も全てキッチンで行っていることに驚いた覚えがある。他のファミリーレストランにはない「特別」を感じたものだ。 この本はReadsにて皆さんのレビューを読んですぐに読みたくなって本屋さんにて購入した。中でも評判の高かった朝井リョウさんのエッセイを楽しみにしていたのだが、想像を遥かに上回る満足度だった。初めて読んだ朝井リョウさんの文章がこれで良かったと、しみじみと思ったものだ。 皆さんのエッセイ全てにロイヤルホストへの愛があふれていて素晴らしかった。ロイヤルホストに今すぐ行きたくなる、素敵なエッセイの数々だった。今度はロイヤルホストで、この本を読みたい。
- 2025年3月21日海のうた左右社編集部読み終わったいつ死ぬかわからないのにどうやって海に行く日を決めるのだろう phaさんのこの海のうたが心に響いた。去年の春、死にたくなって春の海を訪れたことを思い出したからだ。結局臆病な私は砂浜でどんよりとした灰色の海を眺めることしかできなかったけれど。 時折、どうしようもなく海に行きたくなることがある。そんな時は決まって七里ヶ浜へと行く。江ノ電に乗ってごとごと揺られて、そして海と江ノ島、富士山を眺めていると少しずつ心が凪いでいく。大好きな街と海だ。 今年はいつ海に行きたくなるだろうか。自分の体に流れる海への渇望が溢れるのを、ただじっと待ちたい。
- 2025年3月16日あかるい花束岡本真帆読み終わったへたくそなハンドサインを読み解くよ 来世で、きみは、枇杷に、なりたい? 岡本真帆さんの短歌は、生活に根付いていて好きだ。生活の中で生まれた短歌は親しみやすさがあり、ときにユーモラスでくすっと笑える、唯一無二の温度を纏っていると思う。 上で挙げた歌が、『あかるい花束』の中で私は一番好きだ。目を細めて真剣に読み取っている様子やその時のテンポが伝わってきて、情景がぱっと浮かぶリズミカルな歌でいいなと思う。 『水上バス浅草行き』も読み返したくなった。
- 2025年3月13日オールアラウンドユー木下龍也読み終わったかつて読んだ鎮火してもらうつもりでくちづけを求めたけれど、けれど、全焼 再読した今、『オールアラウンドユー』の中で一番好きな短歌はこれになった。「けれど」の繰り返しのリズム、そして軽いくちづけが深くなるにつれ心と体に火がつき、きっと情事になだれ込んだであろう二人の影が淡く浮かぶところが好きだ。 そして、木下龍也さんの短歌はもちろん、あとがきがすごく好きだ。しんしんと静かに降り積もる真白の雪のような、そんな静謐さと美しさがあるなと思う。他の歌集も拝読するのが楽しみだ。
- 2025年3月12日ブルーピリオド(2)山口つばさ読み終わった
- 2025年3月12日ブルーピリオド(1)山口つばさ読み終わった昔から、家族に「好きなもの(趣味)があるっていいよね」と言われてきた。ずっとその意味するところがわからなかった。 読書、文章を書くこと、eスポーツ観戦、etc……。好きなものはたくさんあった。でも、それだけ。好きなものがたくさんあって、好きなものに好きということを厭わない。普通のことだと思っていた。 でも、この漫画を読んで自分の「好き」があるって、その「好き」を真っ直ぐ認められるってすごいことなんだと思った。 この先主人公が歩む道を、どうやっても見届けたいと思う素晴らしい作品だった。 p.57 「好きなものを好きっていうのって 怖いんだな…」
- 2025年3月9日
- 2025年3月7日メダリスト(1)つるまいかだ読み終わった米津玄師さんが歌う主題歌を聴いて、なんて素晴らしい曲なんだろうと感動し、何回も何回も聴いた。そして米津さんが勧める『メダリスト』という作品を知りたいと思った。 アニメから見始めて、すぐに作品の虜になった。いのりさんと司先生の人生をかけた凄まじい熱量を宿した物語に夢中だった。ずいぶん久しぶりに毎週の楽しみができたくらいに。 そして、漫画も読み始めた。前評判で漫画の描写力が素晴らしいとは聞いていたが、その画力に圧倒された。特にスピンの表現、次回予告の見開きページの迫力に心をぐっと掴まれた。アニメ化をする時に何を捨て、何を付け加えたのかがわかるのも面白い。 これからこの素敵な作品を追えることを、とても幸運に思う。
- 2025年3月5日あなたのための短歌集木下龍也読み終わったかつて読んだ収録されている短歌はもちろん、あとがきがすごく好きだ。その人に、与えられたお題に寄り添って生まれた短歌はどれも誠実で、冬の毛布のような優しいぬくもりが宿っている気がする。
- 2025年3月5日太陽帆船中村森読み終わったかつて読んだ飛行機に乗るたびに「非常時の振る舞い方は手を貸せるように聞いてるグッドフライト」の歌を思い出し、真剣に画面に見入り耳を澄ます。生活の中でふとした時に香る中村森さんの短歌が大好きだ。これからも『太陽帆船』は何度も読み返す、私が短歌を読むきっかけになった特別な歌集の一つであり続ける。
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