
碧の書架
@Vimy
2025年3月12日

世界の食卓から社会が見える
岡根谷実里
かつて読んだ
ルポ・NF@碧の書架
思考が深い、尚且つ平易な書き方で読みやすい、とても良い本でした。
カラー写真やグラフも載っていて、1テーマ15Pほど。よくこんなに上手にまとめたな…と感心しました。
最も印象的なのは、7章ウズベキスタンの「日本の野菜は水っぽい?」です。
私は仕事の関係で農業学校に2年間通い、栽培から販売も経験しています。そのため、多少野菜の事を述べても許される身ではないか…と思い書いてみます。
この手の話となると、とかく「日本の野菜は水っぽい、味が薄い→慣行栽培、促成栽培のせい→だから栄養価が低い=ダメなこと」のように、安易に良い悪いの二元論で結論を出して終わりがちに感じます。
しかし驚いた事に、この本はそこで終わらないのです!たった13Pで、気候、土壌条件、栽培方法を比較し、日本の料理事情まで考えています。
この内容を書くために、おそらく著者は様々な文献やデータを調べ、知識を得たはずで、普通だったら長々と書きたくなると思うんです。真剣に考えていれば尚更。(今の私のようにw)
それを、この本の魅せ方はそこではないと取捨選択し簡潔にまとめた筆力に脱帽です。
読後に思ったのは、真に社会を考える、比較する、考察する、という事は、こういう事なんだ。思考を止めないってこんなにすごい事なんだ、という事です。
私は著者様を「めちゃくちゃ頭のいい、フラットな見方、考え方のできる人」だと感じました。自分もそうなりたいと思うし、たくさんの人にこの本を読んでもらいたいと思いました。
著者の真摯な姿勢、人間性が感じられて、好き!って思えますwこんな気持ちになった本は久しぶりですw良書です!



