
ほんのむし
@hon_no_64
2025年12月20日
BUTTER
柚木麻子
買った
読み終わった
きっかけはアメリカ人の友人から、
「いま欧米の本好きで話題になっているのは、柚木麻子さんの『BUTTER』、青山美智子さんの『お探し物は図書室まで』、そして八木沢里志さんの『森崎書店の日々』」
と聞いたことで、『森崎書店の日々』は既読であったのと、その繊細な作品とは対極にあるようなこの作品を読む事でバランスを取りたいと思い、手にした。
女性が活躍しにくい業界で週刊雑誌記者として働く主人公は、男たちから財産と命を奪ったと注目されている首都連続不審死事件の被告を申し込み、その条件として次々と被告の指示通りに美食を体験することで、彼女と彼女の周りの人物たち、そして被告自身の人生が大きく変化していく。
この作品の価値は登場人物たちと料理によって、現代日本で生きる人々を実に生々しく描いたことで、結末は人によってはアンハッピーエンドにも取れるかもしれないが、これこそが純文学であり、特にセルフネグレクトやアイデンティティに関する描き方は女性作家でなければ書けないものだと思った。
読後も度々思い出しては色々と考察させられ、久々に読書の醍醐味を与えてくれた、バターを大量に使った作品中の料理と同じく、ひとくちでは味わいきれない、次々と表情が変わっていく濃厚な作品であった。
