高山碧瑶 "街とその不確かな壁(下)" 2026年1月31日

街とその不確かな壁(下)
この小説は"物語"の話なのかもしれない、壁に囲われた街は第1部で主人公が17歳のとき少女と共に築きあげ、第2部でイエローサブマリンの少年に共有され、第3部で引き渡される。そして"物語"には現実のような時間は存在しない。主人公は現実と非現実を行き来している。と私には読めた。 撮影され写真の私は私でありながら私の影であり、物語に投影された私もまた影と分離されて定着された存在なのかもしれない。 いろいろと考えてみたが確かな答えが導きだせない。 作中のこの会話がメタ的で面白く、記憶に残った。 「そうね。そういう物語のあり方は批評的な基準ではマジック·リアリズムみたいになるかもしれないけれど、、ガルシア=マルケスさん自身にとってはごく普通のリアリズムだったんじゃないかしら。彼の住んでいた世界では、現実と非現実はごく日常的に混在していたし、そのような情景を見えるがままに書いていただけじゃないのかな」 「つまり彼の住む世界にあっては、リアルと非リアルは基本的に隣り合って等価に存在していたし、ガルシア=マルケスはただそれを率直に記録しただけだ、と」 「ええ、おそらくそういうことじゃないかしら。そして彼の小説のそんなところが私は好きなの」
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