"春のこわいもの" 2026年2月1日

咲
@mare_fecunditatis
2026年2月1日
春のこわいもの
春のこわいもの
川上未映子
深夜の本屋さんで、ランタンを片手に本を読んだ。あったかいカフェモカは、苦みのある甘さで美味しかった。 0時を過ぎて、お風呂に入り緩やかな館内着を着て、ほの暗くて、思考の巡りは緩慢で、言葉を受け取る精度も落ちていた。 北海道に住んていた時に、親しくしていた美しい女性が、川上未映子をとても好きだった。 彼女が、離別の際に、川上未映子を贈ってくれた。 先日久しぶりに電話をしたこともあり、川上未映子を読みたい気分だったのかもしれない。 目にとまり、手に取って、本屋さんの隅っこのソファに沈み込むようにして読んだ。 深夜特有のほわほわとした心が、言葉をそのまま受け止めて、打ちひしがれた。 「春の夜から春の要素だけが消滅し、得体の知れないその残り滓が、冷気とともに部屋に積もっていくようだった」 本書の読み心地を表現するとしたら、「娘について」にあったこの一文、まさに、そんな感じだった。昼間にはとても読めなかった。 「じっさいに、美人はいるしブスもいる。そんなの当たり前の話だった。自分で決められる価値もそりゃあるにはあるだろうけど、同時に他人が決める価値も、あるに決まってるじゃんか。美しさとかきれいさっていうのは、例えば、しあわせとか愛とかそういうなんかふわふわした適当なものとは根本的に違うんだよ。美っていうのは、どうしたってはっきりしていて、ぜったいに見間違えようのないものなんだから」 「心じゃない、顔と向きあえ」 「しあわせなことを想像しているとき、胸のなかはあんなふうに膨らむんだろうなというような雲をみたこと。影に影をかさねても、何も残らなかったこと。わたしは、きみのことが大好きです。ねえ、戻れない場所がいっせいに咲くときが、世界にはあるね」 「わたし自身から、少しまえまでわたしにあった、なんとかまっとうに生きていくための筋力が少しずつなくなっているような感じがします」
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