さくら🌸 "答えは市役所3階に" 2026年2月1日

答えは市役所3階に
2020年、突如として現れた新型ウイルスのせいで生活様式は一変した。その頃の、市役所での心の相談室が舞台となった話なら、さぞ読者の心を軽くさせる、前向きになれること間違いなしな物語なのだろうとページを捲ったけど、想像しているものとは違って驚いた。心の相談室にカウンセリングにやってくる、年齢も異なるそれぞれ5人の男女。彼らの悩みは五者五様ではあったが、あのコロナ禍を生き抜いた人ならそのどれもに思い当たる節がある。そのパートに関しては、傷を抉られるような気持ちにさえなった。先の見えない不安で、これからまた元通りの生活に戻れるのだろうか?という誰も答えをくれない問いを虚空に投げるしかなかったあの頃を鮮明に思い出す。そして、相談者の自語りベースで進んでいった物語は、その後相談室の2人の職員目線のパートでひっくり返される。少しずつ自語りのパートに散りばめられた違和感を丁寧に拾い上げ、事実はそういうことだったのか…と毎話驚かされる構成になっていて、新鮮な読み心地だった。
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