DN/HP "しあわせの理由" 2026年2月1日

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2026年2月1日
しあわせの理由
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グレッグ・イーガン,
山岸真
劉慈欣の『流浪地球』に収録された「呪い5・0」を読んで、グレッグ・イーガンの「道徳的ウィルス学者」を思い出したけれど、そういえば『三体』を読んだ流れでグレッグ・イーガンの短編の再読をしたこともあったのだった。 これはその時「道徳的ウィルス学者」を読んだ感想。今また読んでみたいけれど、ちょっと本が見当たらないのだった…… 曰く当時の「エイズは神の道具だと大騒ぎする宗教原理主義者に対するかなり直接的な反応」、狂信者への痛烈な皮肉とブラックジョーク。信じたいものがまずあって、それを信じ続ける為に、事実をねじ曲げ、浮かんでくる疑問もこじつけで無かったことにしていく。その先に訪れる絶望的な状況すらも他者に押し付けることで肯定していこうとするウィルス学者の姿は強烈だけれど滑稽で、数年前に読んだときには「笑えた」気がする。 数年ぶりの再読。宗教のようにはっきりしたものではないのしても、多かれ少なかれ、あるいは意識しているかどうかに関わらず、行動、生活の根底には、信じているもの、正しさだったり善いとしているものがあるわけで、それが狂信とどう線引き出来るのか、小説の学者のように事実を曲げて見てしまっていることはないのか、と考える、省みてみる。それは、無いとははっきりと言えないような気もするのだけど、それでも同時にそれぞれにある信じるものを超えて存在する“正しさ”や”善“はある、あって欲しいと思っていたことにも気がつく。そういうものがあって、それを信じる人たちがいるから社会は踏みとどまっていられるのではないか、とも思える。狂信することではなく、省みながらもそうしたものを根底にしながら社会、世界に対峙していきたい。 数年ぶりに読んでも、ウィルスの制作過程や仕組みは相変わらずよく分からなかったけれど、それでも今読むことで、新たに“分かった”こと読み取れた、取りたいことはあって、変わらずに素晴らしいSF短編小説だった。
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